2020年11月11日、A.L.I. Technologies(以下A.L.I.)とエアロダインジャパン(以下エアロダイン)は、全世界向けに本格的なドローンサービスを展開するため、両社の持つドローンオペレーターネットワークとUAS(ドローンシステム)の連携に向けたアライアンスを組成したことを発表した。世界35カ国においてドローン点検実績を持つエアロダインと、国内最大のドローンソリューション事業を展開するA.L.I.による、高品質なサービスを国内外に向けて推進する取り組みとなる。

A.L.I.の課題と構想

 A.L.I.では将来的なドローン市場拡大を見越して、創業初期よりサービス運用に向けたUAV(ドローンを含む無人航空機)の開発や、クラウド型のドローン管制システムの開発を行ってきた。
 国内においてもドローンソリューションのニーズは拡大しているが、優れた技術を持つドローン操縦士の不足と、機体やシステムの海外製品台頭によるルールや安全品質のありかたに関する課題がある。
 こうした課題に対応するため、同社では各業界の現場に合わせた独自の研修制度によって確かな操縦技術を持つドローン操縦士を育成し、さらに、ドローン機材、システム情報等を一元的に管理することが可能なクラウドシステム「C.O.S.M.O.S(コスモス)」を独自開発している。
 これらの取り組みに加え、世界的にドローンサービスを展開しているエアロダインとの連携によって、国内外問わず品質の高いサービスを提供しドローンの社会実装を加速化させることを目指す、としている。

ドローン管制システム「C.O.S.M.O.S」

操縦士の点検情報
自動点検飛行

エアロダインの課題と構想

 エアロダイン社は、世界35か国において30万件以上のドローンアセット点検の実績を有するドローン・ソリューション・プロバイダー企業である。Asia-Pacific Best Practices Awards 2019(*1)では、UAVサービス部門でアジアNo.1に選出されている。
 現在、エアロダイングループが提供するドローン点検を必要とする多くの業務が、既存のインフラ構造物の点検の代替手法となっている。そのため、ドローンオペレーターにかかるコストについては既存の点検コストと比べて同程度か、それよりも安価な料金が望ましいとされるのが一般的である。2018年より日本でもサービスを提供しているが、国内においては産業に必要なドローン操縦技術を持つ操縦士が不足しているため、限られた熟練オペレーターの調整が日増しに難しくなってきているという。今回の取り組みを通じて、両社の持つノウハウを統合することで、国内外相互乗り入れ可能なオペレーション品質の均一化と、クライアントへのサービスを向上させることを目指す、としている。

*1 Frost and sullivan社:“Asia-Pacific Best Practices Awards 2019” Asia-Pacific Unmanned Aerial Vehicle (UAV) Services Company of the Year

エアロダイン社のグローバル展開状況

今後の展望

 A.L.I.は、昨年11月に23億円以上の資金調達を実施しており、出資した多くの事業会社とオペレーションが始まっている。
 社内にて機体の開発・カスタム対応を行う体制を有しており、顧客のフィードバックを元に独自の機体開発にも力をいれている。広く市場に流通している汎用機だけでなく、自社開発のメイド・イン・ジャパンの機体や関連システムと共に、官民のさまざまな課題を解決できるドローンオペレーションを実施していく。
 加えて同社では、FAI(*2)公認国際ドローンレースや各業界での研修ルールを推進する過程において国際基準に適合するドローンのルール策定にも積極的に取り組んでおり、グローバルでのドローンオペレーション知見を豊富に有するエアロダインとの連携によって、ドローンサービスにおける規格をはじめとした基準のデファクトスタンダードを作っていく、としている。

*2 Fédération Aéronautique International(国際航空連盟)