NTTデータは、2020年10月6日~9日と10月22日に、愛媛県が実施する防災ドローン自動航行システム(※1)を用いた運用訓練の支援および原子力防災訓練時における実証実験を行った。

 10月6日~9日はドローン運用特化型訓練で、ドローンによる遠隔からの被災状況把握訓練を実施。10月22日は、自動航行ドローンの飛行を行うとともに、同一空域を飛行する消防防災航空隊ヘリからの退避指示に基づくドローンの緊急リターンを行った。

 NTTデータは、今後も現場での運用実績をもとにしたソリューションとして、災害時エリアモニタリング自動化ドローン(※2)の展開を通じて、自治体等の行政機関および重要インフラ事業者等における防災のデジタル化への貢献を進めていく、としている。

背景

 NTTデータと愛媛県は、2017年より、導入調査、システムの構築(ドローン運航管理パッケージソフトウエア「airpalette UTM」(※3)を活用)、職員オペレーションの強化、携帯電話網の上空利用に係る実証などの取り組みを進めてきた(※4)。今年度はコロナ禍を踏まえて自動航行ドローンのメリットを生かし、ドローン運用に特化した訓練の企画・実施支援を行うとともに、原子力防災訓練においては、愛媛県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定に基づき、有人機とドローンの連携についてもその実効性を高めることを目的に実証実験を行った。

訓練概要

2020年10月6日~9日:ドローン特化運用訓練

 愛媛県等の自治体職員約30名の参加により、避難経路13ルートの道路に対して18機のドローンによる被災状況把握訓練を実施(一部ルートは荒天により飛行を中止)。災害発生時に自治体等職員のみでの運航を可能とし、コロナ禍における遠隔からの安心・安全な状況把握が可能な体制を早期に整備することを目指す。

訓練の様子(10/6~9)

2020年10月22日:原子力防災訓練における実証実験

 愛媛県知事出席のもと、自動航行ドローンの飛行を行うとともに、同一空域を飛行する消防防災航空隊ヘリからの退避指示(当日は荒天により、ヘリの飛行はシミュレーターにより実施)に基づくドローンの緊急リターンを実施した。被災状況把握においては、防災ヘリとドローンのそれぞれの長所を生かした補完的な運用が強く求められており、実証実験を通じてその実効性を高めた。

実証実験の様子(10/22)

今後について

 災害時エリアモニタリング自動化ドローンについて、自治体・中央府省、重要インフラ事業者等に向けた導入支援、構築、運用・教育をトータルで提供するとともに、危機管理・災害対策本部デジタル化プラットフォーム(※5)の展開も交えて、防災分野におけるデジタル化・DXへの貢献を進めていく、としている。

注釈

※1 防災ドローン自動航行システム :自動航行ドローン23機、巡視対象道路総延長100km超の被災状況収集システム。現場での取り組みの知見を踏まえ、災害時エリアモニタリング自動化ドローンとしてソリューション化を行っている。

※2 災害時エリアモニタリング自動化ドローン :防災ドローン自動航行システムにより、災害発生時に避難道路や構造物などの被災状況を迅速かつ網羅的に把握することで、行政機関やインフラ事業者等の災害対応業務の高度化を実現。同時に多数のドローンを自律飛行させ短時間で必要十分な映像を収集し、一元的な管理のもとで関係先に配信を行う。AIによる映像解析、ドローンによる物資搬送といった機能も提供する。https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/area-monitoring_automated-drone/

※3 airpaletteUTM :ドローンを活用する事業者向けの運航管理機能「FOS」および空域管理者向けの無人交通管理機能「UTM core」により構成され、さまざまなフィールドでドローンの飛行を実現するためのソフトウエアパッケージ。https://www.airpalette.net/ja/utm

※4 NTTデータ「ドローンと有人機で情報共有(D-NET)愛媛県原子力防災訓練」(2018年10月31日)

※5 危機管理・災害対策本部デジタル化プラットフォーム :台風、地震、テロ、パンデミック等の災害および危機発生時に、災害対策本部、対処現場、関連織間での情報共有や状況認識の統一とリーダーの指揮統制の強化を図り、災害対応に対する企業、組織としてのレジリエンス(強靭化)を高めるシステム。https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/crisis_management/