2020年10月20日、トルビズオンは、多久市(佐賀県)、多久市まちづくり協議会かつやく隊、AgVenture Labなどの協力のもと、多久市におけるドローンを活用した物資運搬に関する実証実験を実施することを発表した。また、本実験を契機とし、ドローン航行のための定期ルートである「空の道」構築に向けた検討を本格化する。

実証実験の趣旨

 現在、社会的にドローン配送サービスが注目されている。背景として、物流業におけるドライバー不足、山間部に居住する高齢者の免許証返納などのライフスタイルの変化、公共交通機関の不便性などが挙げられる。

 これら諸問題の解決に向けドローン物流を社会実装していくためには、墜落の危険性や騒音などドローン航行のリスクを受容する地権者の合意が不可欠である。トルビズオンが展開する「sora:share」は、土地所有者とドローンユーザーをつなぐシェアリングエコノミーであり、両者が合意形成したうえでドローン飛行を支援するサービスである。

 sora:shareを活用し、多久市まちづくり協議会や協力団体と共に「1. 配送困難地域とされる山間部への旅行者や居住者が、手軽に注文できるドローン・フードデリバリーサービス」「2. 山間部の農家が農作物を直売所まで運ぶドローンデリバリー」の2つをテーマとした実証実験を行う。

実証実験の概要

日時 :2020年10月26日 10時30分~14時00分(予備日:2020年10月27日 同時刻)

場所 :佐賀県多久市西多久エリア
 ドローン飛行離発着場所:西多久多目的運動広場、船山キャンプ場
 飛行ルート:下図参照

実験内容
・高低差のある山間部におけるドローン配送の検証
・ドローン配送の事業モデル検証
・sora:shareを活用したドローン航行に対する社会受容確保

1. (往路)キャンプ場客への食品配送(多久市名産「すっぽん鍋」の具材)
2. (復路)直売所に向けた農作物の配送

・離発着便数…計1便(往復)
・使用機体…マルチコプター型ドローン(DJI M300)
・搬送重量…1.5kg
・搬送距離…約3km

今回の実証実験の配送ルート(一部区間は車にて配送)
実証実験で使用する機体(DJI M300)

実証実験参加団体

実施主体

トルビズオン :プロジェクトマネジメント、上空シェアリングsora:shareの提供
多久市まちづくり協議会かつやく隊 :「手ぶらでドローン・すっぽん鍋」事業考案および実施、地権者調整
多久市 :協定に基づく自治体所有地の上空利用許可、その他連携
幡船の里 :すっぽん、農作物など搬送する食品の準備

協力団体

九州電力 :ドローン運航
組合林業 :森林上空(一部)の地権者調整
AgVenture Lab (※):JAアクセラレータープログラムを通じたトルビズオンの活動支援

※全国農業協同組合連合会や農林中央金庫などの共同出資により開設されたイノベーションラボ

今後の展開

 2022年度を予定している有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実施に向けた航空法改正を見据えて、自治体やまちづくり協議会、JAグループ、JForestグループなど、地権者調整に欠かせない団体と連携することで、農地上空や森林上空の飛行許可を組織的に取得する仕組みを整え、ドローン航行のための「空の道」構築を目指す。

 本実験の位置付けはその第一弾であり、今後トルビズオンはドローンを活用したまちづくりに取り組む地元住民で構成された多久市まちづくり協議会と共同し、シェアリングシティとして空路開拓にコミットする多久市と「上空シェアリング・モデルシティ」を目指して、複数のルート開拓を実施する。またこれら「空の道」は、ドローン配送のほか、農地や山林の状況確認、鳥獣害調査、高齢者の見守りなど様々なドローンソリューションのために利用することを予定している。