2020年7月27日、東光鉄工と自律制御システム研究所(以下ACSL)は、国策「国土強靭化基本計画」に沿い、豪雨や地震などの大規模な自然災害時の過酷な環境下で迅速に状況情報収集・調査等に使用できる防災・減災対策ドローンの開発・販売に向けた協業を開始したことを発表した。

 東光鉄工とACSLは、人命救助や災害出動現場における情報収集、レスキュー活動などに活用できるドローンの重要性、および昨今高まりつつある機密情報セキュリティ管理等に十分に配慮した安全・安心なドローンに対する需要急増から、両社の技術の融合により高いシナジー効果が期待できると考え、今回の協業に至ったという。

 東光鉄工は、「地域貢献」「社会インフラ貢献」を目標に掲げ、南極の東光ドームや防災シェルターなど、独自製品の開発・販売を行っている。2015年からはUAV事業部を立ち上げ、これまで製造した農薬散布ドローンのノウハウを生かし、秋田県のサポートを得ながら、耐風性・防水防塵性に加え、浮沈構造を追加した防災・減災対策ドローンを開発している。

 ACSLは、産業分野における既存業務の省人化・無人化を実現すべく、国産の産業用ドローンの開発をしている。ACSLはドローンの姿勢や飛行を制御するフライトコントローラを独自開発しており、高いセキュリティ、あらゆる条件下での最適な飛行を可能とする技術が強みである。また、2017年7月九州北部豪雨において、内閣府の要請により航空法の特例措置を受け目視外飛行を実施した経験や、東京都からの要請を受け、2019年10月、台風19号の被害に伴う奥多摩町へのドローンによる緊急物資輸送の経験を有している。

 今回の開発背景・狙いは、被害規模が甚大傾向にある自然災害や遭難事故等を鑑み、国策「国土強靭化基本計画」に応えるべく、高性能・多機能に優れた全天候対応型のミッション・クリティカルなドローン機体の提供にある。

 今後両社は、東光鉄工がハード設計・製造した機体に、ACSLが開発したフライトコントローラを搭載した国産の防災・減災対策ドローンを共同で開発・販売していく。

東光レスキュードローン TSV-RQ1

2017年7月、九州北部豪雨災害調査(ACSL)
令和元年10月28日、奥多摩町へのドローンによる物資搬送(東京動画)
TSV-RQ1紹介動画(東光鉄工UAV事業部)