2020年7月9日、東光鉄工は、人命救助や災害出動現場における情報収集、レスキュー活動などに活用できる多目的防水ドローン「TSV-RQ1」を発表した。開発から3年、耐風性・防水性に加え、浮沈構造を追加するなどレビューを繰り返しながら、国内製にこだわった新しいレスキュードローンを製品化した。

 2017年の開発当初、国内の多目的防水ドローンは防滴レベルであり、付属品においては防水でないものもあった。一般的な空撮機には防水仕様もあるが「純国産」のレスキュードローンの開発は国内初になるという。

東光レスキュードローン TSV-RQ1

製品の特長

・空気抵抗の少ない、デザイン性を併せ持つ流線型ボディ形状により、強風時・悪天候でも安定した飛行が可能。耐風18m/s。防塵防水IP55。

・2重モノコック構造(※1)により、気密性(浮沈構造)を実現。

・フライトコントローラー(※2)も国内製を採用し、機密性の向上を図った。

・取り付け簡単なアタッチメント式を採用した多彩なオプション。

  1. Camera(高感度・赤外線)
 暗闇での撮影や、赤外線モードの撮影も可能な2眼タイプ。
  2. 高輝度LEDライト
 明るさは8000lm。高度100mからの確認が可能。
  3. ハイパワースピーカー
 高度100mの上空から地上に届く音声。無線通信可能距離は最大5km。
  4. リリースユニット
 最大重量2kgまでの物資を搭載可能。

※1 ボディそのものに骨格としての強度を持たせた、フレームの無い構造。
※2 ドローン内部の各種センサーから演算を行い、機体の姿勢制御を行う基盤。

TSV-RQ1オプション

多様化する防災・減災への対応

 近年、災害の多様化によって救助現場のみならず、防災・減災の必要性が注目されている。多機能・高性能なレスキュードローンの役割は大きく、国が進める「国土強靭化計画」への貢献にもつながるという。

 追求した耐風性、防水性、気密性は、レスキュー以外からも着目されている。秋田県は冬季における日本海からの強い季節風など、風資源に恵まれた国内有数の風力発電の適地である。2025年までに風力発電81.5万kwの導入が見込まれており、県有地中心に風車建設が進められている。現状の風車メンテナンスは、人の目視が中心である。ドローンによる点検時のブレード撮影や修理時の物資運搬への利用など、さまざまな可能性が考えられる。

今後の取り組み

 同社では、TSV-RQ1の開発目標に「地域貢献」「社会インフラ貢献」を掲げている。製品化によりドローンを活用する地域企業を育成し、雇用拡大などの形で支援するとともに、社会インフラ維持、メンテナンス効率化を目指す、としている。