2020年6月19日、「空飛ぶクルマ」(※1)を開発する、CARTIVATORとSkyDriveは、NEC、パナソニック、矢崎総業をはじめとする協賛スポンサーが100社に至った事を発表した。本支援は空飛ぶクルマの開発推進に活用し、2020年夏のデモフライト実現と2023年の実用化を目指す、としている。

※一部、先方の都合で掲載なしの企業あり

各スポンサーの支援内容とコメント

 支援内容の内訳は、資金提供58社、技術部品提供38社、出向という形で社員が実際に参画している企業が4社となっている。以下、具体的な支援内容の一部を紹介する。

日本電気株式会社(NEC)

支援内容:飛行制御に関する技術検証支援

 NECは、社会ソリューション事業で培った無人航空機の制御・管制や電波監視等の技術を活かし、飛行制御に関する情報交換および技術検証支援を行った。また、空の移動革命に向けた官民協議会等の活動を通じ、空飛ぶクルマの社会受容性向上や新たな移動環境の実現を目指して連携している。

ナショナルセキュリティ・ソリューション事業部 事業部長 藤井 幸一 氏
 CARTIVATOR様のミッションである「モビリティを通じて次世代に夢を繋ぎたい」という言葉に感銘を受け、これまで支援をしてきました。
 NECは、エアモビリティ領域において、新たな移動環境の管理基盤の構築を目指しています。今後もCARTIVATOR様・SkyDrive様との連携を強化することにより、安全・安心な次世代の移動環境の実現に向けた取組みを加速していきたいと考えています。

パナソニック株式会社

専務執行役員 柴田 雅久 氏
 試験飛行は着々とレベルアップし、カーゴドローンでは昨年12月に予約販売が開始されるなど、将来がとても楽しみになってきました。「空飛ぶクルマ」が空高く舞い上がり、新型コロナ感染影響で沈みがちな気持ちを吹き飛ばしてくれることを期待しています!

矢崎総業株式会社

支援内容:空飛ぶクルマのワイヤーハーネス部品・試作

トヨタビジネスユニット 開発設計統括部 統括部長 森 重樹 氏
 『モビリティを通じて次世代の人達に夢を提供する』というミッションに共感し、自動車用ワイヤーハーネスで培った、安全で安心な未来志向のつなぐ技術を、空飛ぶクルマの実現に向け支援しております。また弊社は、SkyDrive様とスポンサー初の出向契約を締結し、豊かな未来の実現に向け邁進しております。

ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン株式会社、ミズノ株式会社

支援内容 :シートベルト、エアバック、チャイルドシート等の開発を進めてきたジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン株式会社と、スポーツ品メーカーであるミズノ株式会社がシューズのクッション性と安定性を両立させるためソール部分の基幹機能として用いる独自波形プレート『ミズノウエーブ』の技術を応用し、 軽量高性能な「衝撃緩衝装置が内蔵されたシート」を共同開発

ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン株式会社 技術本部 本部長 熊谷 雅義 氏
 「今、無いものを創り出す」と言う思いに共感し、参加する機会を頂きました。多くのスポンサー様の一員として活動でき誇りに感じております。クルマが空を飛んでも「人の命を守る」ことに変わりはありません。次世代のモビリティ社会の安全をつくる!という「夢」を追う開発を、高い技術力をお持ちのミズノ様から良き刺激を頂きながら開発に取り組んでいける環境に、本当に感謝しております。このようなワクワクする貴重な機会を設けて頂いたCARTIVATOR様、SkyDrive様、ミズノ様に感謝申し上げると共に、未来への実安全の構築に向けて全力で取り組んで参ります。

ミズノ株式会社 グローバル研究開発部 技監 金子 氏
 「空飛ぶクルマ」と「スポーツ品」と言うと一見何の関係もないように感じられると思います。しかし、ランニング等のスポーツ活動もヒトを移動させるという点で多くのモビリティーと共通点を持っているのです。
 そして人体に加わるストレスを低減するという大切な役割は「空飛ぶクルマ」にも「スポーツ品」にも共通するものです。社外の学術会合でCARTIVATORチーフエンジニアの松橋様とお会いし、そのような世間話をしたことがきっかけとなり、今回の取組をスタートすることになりました。通常、ランニングシューズの緩衝性能はミッドソールと呼ばれるスポンジの物性によりコントロールされます。一方、ミズノウエーブはシューズに内蔵された波形のプレートの波長や振幅を調整することで性能をコントロールするものです。要求されるエネルギー吸収量や許容される荷重が決まればそれに応じた形状を決定することが可能です。この特性を生かして今回の安全装置の開発にたどり着くことが出来ました。SkyDrive様、CARTIVATOR様がこれからもこの世界で先頭を走り続け、人間の可能性を更に拡大し、よりアクティブで活気のある社会を実現してもらえるものと確信しております。関係者一同これからも大きな喜びを感じながら「空飛ぶクルマ」の開発に携わらせていただきたいと思います。

東京海上日動火災保険株式会社

支援内容:「空飛ぶクルマ」の試験飛行・実証実験に向けた、「空飛ぶクルマ」専用の保険を開発・提供 している。機体の運行に起因する第三者への賠償責任、機体の損壊、搭乗者のケガなどの補償で、「空飛ぶクルマ」の安心・安全な開発環境の構築を支援する。今後も段階的に高度化していく飛行試験・実証実験や、その先の実用化に向けて、新たな法整備などに随時対応しながら、迅速かつ柔軟な商品開発を行い提供していく。

航空保険部 理事 航空保険部長 宇井 秀夫氏
 弊社は、まだ日本に自動車が1,000台ほどしか走っていなかった1914年(大正3年)、「人とクルマの毎日を安心なものにしたい」という思いから、日本で初めて自動車保険の営業認可を取得しました。それから100年余り、『空飛ぶクルマ』についても、長年培った航空保険の経験・ノウハウを活かし、最先端のリスク研究と商品開発に挑戦を重ねております。今後の実用化、そして将来の拡大期まで、安心と安全をお届けすることを通じて、SkyDrive様、CARTIVATOR様の「空の移動革命」に向けた挑戦をお支えして参ります。

ソニーピーシーエル株式会社

支援内容:3DCGやVFXを活用したプロモーション映像コンテンツの制作
 「空飛ぶクルマ ”SkyDrive” のある未来 - 2030」など、空飛ぶクルマが実現する未来とその魅力を、短時間で直観的に伝える為のコンテンツを様々な最先端ビジュアルテクノロジーと合わせて提供する。

「空飛ぶクルマ”SkyDrive”のある未来ー2030 Future World with SkyDrive-2030」

クリエイティブ部門ビジネスプロモーション部マーケティング課 統括マネジャー 黒谷 瑞樹 氏
 イメージした未来の現実化に挑戦する皆さまを、“驚き” をもたらすような最先端の映像技術を活用したコンテンツの力で、支援します。

社名一覧

日本電気株式会社(NEC)、パナソニック株式会社、矢崎総業株式会社、ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン株式会社、中央電気工事株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、大日本印刷株式会社、日本ナショナルインスツルメンツ株式会社、MathWorks Japan、ミズノ株式会社、株式会社ベリサーブ、富士通株式会社、株式会社明和eテック、株式会社ローランド・ベルガー、アイシン精機株式会社、愛知製鋼株式会社、アスタミューゼ株式会社、株式会社アソビバ、株式会社小糸製作所、株式会社ジェイテクト、ダイハツ工業株式会社、大豊工業株式会社、太陽建機レンタル株式会社、株式会社高津製作所、都築電気株式会社、テラドローン株式会社、株式会社デンソー、豊田合成株式会社、トヨタ自動車株式会社、トヨタ自動車九州株式会社、トヨタ自動車東日本株式会社、株式会社豊田自動織機、トヨタ車体株式会社、株式会社豊田中央研究所、豊田通商株式会社、トヨタ紡織株式会社、日本精工株式会社、日本郵政キャピタル株式会社、株式会社バンダイナムコホールディングス、日野自動車株式会社、株式会社ブルーストーンリンクアンドサークル、株式会社ベンハウス、株式会社マルコオ・ポーロ化工、株式会社16bit.、ローム株式会社、ノースガラス株式会社、ChatWork株式会社、SMFLレンタル株式会社、株式会社JVCケンウッド、株式会社中部技研、株式会社北東電機、株式会社キグチテクニクス、株式会社スカイワード・オブ・モビリティーズ、株式会社ボーダー・アンド・ポーター、株式会社青山製作所、株式会社ヴィッツ、新報国製鉄株式会社、株式会社東亜製作所、株式会社マホリ、矢作産業株式会社、株式会社UACJ、株式会社ラブノーツ、ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社、原田車両設計株式会社、トヨタホーム株式会社、三栄工業株式会社、双葉電子工業株式会社、スズヒロフォークリフト株式会社、ARI、株式会社イナック、NTPホールディングス株式会社、クーネン&ヴァッカー特許法律事務所、小西模型株式会社(JR/DFA)、株式会社ジュピターコーポレーション、株式会社ショウホウテック、新電元工業株式会社、有限会社D-WEBER、ディーエスエムジャパン エンジニアリング プラスチックス株式会社、Desert Aircraft、株式会社トヨコー、浜静トレーディング株式会社、株式会社ハーベス、HILLTOP株式会社、株式会社フジタ、マゼランシステムズジャパン株式会社、ARROW MARK、FUTURE HOUSE lab.、freee株式会社、ミヤ電子株式会社、株式会社コウメイ、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、ソニーピーシーエル株式会社、株式会社goen、株式会社ナカハタ(一部、先方の都合で掲載なしの企業あり)

「空飛ぶクルマ」の開発状況について

 2014年より開発をスタートした「空飛ぶクルマ」は、2018年12月には屋外無人飛行試験、2019年12月より屋内有人飛行のフェーズを開始し、現在は有人機飛行における技術検証第一弾が安全に完了している。今後は、2020年夏のデモフライト実現と2023年の実用化を目指し、安全を第一に開発を加速していく、としている。

豊田テストフィールドでの屋内有人飛行試験の様子
CARTIVATOR&SkyDrive社メンバー 一同

中村 翼 氏(CARTIVATOR共同代表)コメント

 これまでご支援してくださっている皆さま、そしてこの度ご支援いただいたスポンサーさまに心より感謝申し上げます。我々有志団体にとって、皆さまからのご支援は不可欠なものであり、前進力の源となっております。そして、一つの大きなチームとして、空飛ぶクルマという夢を一緒に追いかけていただければと思っております。皆さまからの熱い想いを胸に、メンバー一同、より一層精進してまいります。

福澤 知浩 氏(CARTIVATOR共同代表・SkyDrive代表)コメント

 私費を中心とした開発活動に限界を感じる一方、当時の開発進捗からは2020年夏のデモフライトの目標を遠く感じていた有志団体CARTIVATORが空飛ぶクルマの開発を進めてこれたのは、スポンサー様のご支援があったからに他なりません。資金・技術・人材。その時その時で課題や必要なものが変わる中、丁寧にご相談に乗って頂きながら、僕たちが本当に必要なものをご提供いただいてきました。また、何より数多くいただく熱いメッセージで、厳しい局面も乗り越えてここまで来れました。メンバー一同、これまでの皆さまのご支援に心から感謝させていただきながら、まずは今年の夏のデモフライトに向けた事業・技術開発を、引き続き全力で進めてまいります。

※1 空飛ぶクルマとは :正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と呼ばれ、電動化、完全自律の自動操縦、垂直離着陸が大きな特徴。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で開発が進んでおり、日本においても都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている。既存の航空機に比べて低コスト・低騒音、かつ離発着場所もコンパクトになるため、空の移動がより日常的になると考えられる。2040年にはグローバルで150兆円の市場規模に達すると予測されている(Morgan Stanley調査)次世代産業のひとつである。日本では、2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。先進国においては渋滞緩和、災害時利用、新興国においては、インフラ不要の移動手段としての活用が見込まれている。