2020年6月、クイーンズランド州政府は、ドローンを用いたアオウミガメの新しい個体数調査方法により、産卵期のアオウミガメ64,000匹を確認したことを発表した。

アオウミガメの産卵期、上陸を目指す64,000匹をドローン撮影で確認

(C) Great Barrier Reef Foundation and Queensland Government

 クイーンズランド州のグレートバリアリーフ最北端に位置するレイン島は、世界最大のアオウミガメの繁殖地である。2020年6月、アオウミガメ保護に取り組む研究者達は、ドローン撮影を用いたことにより、その個体数をより正確に調査することができたと発表し、その映像を公開した。

 アオウミガメの保護と研究を担う「レイン・アイランド・リカバリー・プロジェクト」は、2019年12月にドローンを用いて海面の様子を撮影した。映像では、島の周りに最大64,000匹のアオウミガメが、順番に産卵するため上陸を待っている様子が撮影されている。

 上記の調査結果について論文を発表した筆頭著者、クイーンズランド州環境科学省(DES)のアンドリュー・ダンスタン博士は「今まで研究者たちは、ウミガメの個体数調査を実施するのに様々な方法を試行してきた」「『PLOS ONE誌』で6月5日に発表された新しい科学的研究により、ドローンが最も効率的な調査方法であることが判明した」とコメントした。

 個体数調査方法では、アオウミガメが浜辺に巣を作っている際、アオウミガメの甲羅に無害かつ数日で洗い流される白い塗料を塗り、マークを付ける。その後、塗装済のカメと未塗装のカメを数える。以前は、観測者は小さなボートに乗りカウントを実施していたが、そのデータの精度が課題となっていた。今回初の試みであるドローン映像を活用したことにより、観測者のエラーを減らすことに寄与し、正確なデータを即座に保存することが可能となった。

 本研究は、年々数が減っているアオウミガメの個体数の管理に貢献する。今後は、人工知能を使用してドローン撮影のビデオ映像からカウントの自動化を目指していく、としている。

産卵のため海から陸にあがるアオウミガメ (C)Christian Miller

▼「レイン・アイランド・リカバリー・プロジェクト」について(英語)
https://parks.des.qld.gov.au/raineisland/