2020年3月25日、長崎県五島市は、同市における海岸みまもり事業のウェブサイトを公開したことを発表した。地方自治体の海ごみ漂着状況を、ドローンを活用して年間を通して把握し、その情報を公開する取り組みは日本初だという。

ドローンi-Landプロジェクトとは

 長崎県五島市は、2018年8月、ドローン i-Landプロジェクトが内閣府地方創生推進交付金事業の採択を受け、5カ年事業で、ドローンを離島間無人物流、海洋ゴミの調査、風力発電点検及び農地の作付確認等への活用を行い、関係産業の集積と関連雇用の創出を目指す取り組みを実施している。

ドローンと五島列島を描いたDrone islandロゴ

ドローンを活用し、 海岸のごみ量の数値化に成功

 五島市ドローンi-Landプロジェクト海洋ごみ調査・管理海岸みまもり事業において、五島市の海岸7か所を選定のうえ、ドローンを活用したごみ漂着状況の画像・動画の取得を行い、対象海岸のごみ量の数値化に成功した。

 ドローンによって取得した画像と、数値化されたごみ量、また地域内の海ごみ回収イベントの情報共有機能など、五島市内の海ごみに関わる情報を包括的に共有し、五島の海ごみ問題に関心を抱き、行動する人が少しずつでも増えていくよう、五島市の海ごみプラットフォームの位置づけとして、ウェブサイトを構築し公開した。

 地方自治体の海ごみ漂着状況を、ドローンを活用し年間を通して把握し、その情報を公開する取り組みは日本初となる。

▼長崎県五島市の海岸みまもり事業 ウェブサイト
http://droneisland.jp

前島のトンボロ:前島(五島市)
海ごみが大量に漂着している三井楽海岸:三井楽半島西岸(五島市)

同事業およびウェブサイトのねらい

1. 五島市の海ごみの問題を広く五島市内外の人々に知ってもらいたい
 海ごみの問題が現実にあることを知るきっかけとなることを目的の一つとしている。

2. ゴミ回収に関わる人を増やしていきたい
 人口が減少する自治体において、漂着するごみの回収、処理は先々さらに困難になっていくことが予想される。将来的に処理に行き詰って海岸線にごみが蓄積していく状況にならないためにも、現時点から漂着ごみに関心を持つ人や、行動する人を増やしていきたいと考えている。ウェブサイトでは、イベント情報の共有を行うことで参加者を募集できるようにしている。

3. ごみ量を年間通して定量化し、データを活用する
 海岸ごみ量の数値化を年間通して実施し、今まで感覚値として地域住民が認識していた各海岸に漂着するごみ量を、年間を通して定量化を行う。これによって、数値的根拠をもって効率的な回収、効果的な回収計画等が可能となる。

4. ゴミ回収イベント等の同じ時期、地域での重複を回避したい
 ボランティアの活動が時として同時期同地域で行われることがあり、回収するごみがない状況が発生するなどの場合がある。個人の時間を充てて社会貢献活動を行う者の時間が、より有効に活用できるよう、回収イベント情報を共有する機能を作った。

5. 市内人材の募集と育成
 ドローンでの撮影およびウェブサイトの運営の部分において、市民がウェブサイト運営に関わっていける体制構築を実施していく。

6. 取得した画像等のオープンデータ化
 同事業で取得したデータはウェブサイト上でオープンデータとして公開している。学術関係者をはじめとした海洋ごみ問題を扱う様々な分野に取得したデータを有効活用してもらうことで、日本国内ひいては世界における海ごみの問題を解決するきっかけとなることを願っている。

7. 仲間の募集
 市内人材の募集と育成の他にも、回収に関わってみたい者、 既にかかわっている者、この問題を広く取り上げ紹介するインフルエンサーなど、ウェブサイト上で事業に賛同するサポーターの募集を幅広く行っている。一人でも多くの人が、海ごみの問題に取り組むことで、きれいな海を守っていくことを持続していけると考えている。

事業の概要

事業名五島市ドローンi-Landプロジェクト 海洋ゴミ調査・管理 海岸みまもり事業(2019年12月~)
委託事業者株式会社プロダクションナップ 代表者:仁田 豊文
http://www.production-nap.com/drone/
共同提案者株式会社Area14 代表者:新木 仁士
https://www.area14.info/
関連ファイル2020年1月期 調査結果(算出ごみ量)
https://prtimes.jp/a/?f=d32871-20200324-2780.pdf(FILE:263KB)

長崎県五島市プロフィール

五島市位置図

 美しい砂浜などの自然景観と文化的歴史的資産が豊かな観光地であり、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産を有する地方自治体。観光客(年間約24万人)は増加傾向にあり、移住者も年々増加している。

・人口:36,599人(2020年2月末現在)
・アクセス:東京から最短3時間。福岡・長崎から、飛行機・船の直行便あり。
・五島市HPまるごとう https://www.city.goto.nagasaki.jp/