2020年4月14日、屋内に特化したドローン自律飛行システム「MarkFlex®Air」を開発するSpiralは、シードラウンドにてテックアクセル1号投資事業有限責任組合(テックアクセルベンチャーズ)、Miraise1号投資事業有限責任組合(MIRAISE LLC)、および静岡キャピタルを引受先とする資金調達を実施したことを発表した。

土木現場での点検・監視ソリューション(イメージ図)

調達背景

 Spiralが開発提供する「MarkFlex®Air:MFA」は、屋内などのGPSが届かない環境でも、独自の特許技術によるマーカーを用いることでドローンの自律飛行を可能にするシステムである。今回の資金調達により、今後エンジニアを中心に人材採用と陣容拡大を行い、開発拠点(東京都葛飾区)の整備を進めるとともに、ユーザー各社の現場要求を満たすシステム開発の加速と開発体制の強化を行うという。
 今回の資金を活用してSpiralは「屋内の自律飛行ドローンの導入を検討している現場技術者の救世主となる」というミッションの実現へ加速していく、としている。

今後の展開

 今回の資金調達により、以下のプロダクト開発とビジネス開発を進めていく。

1. 建築/土木領域において活用できる非GPS環境におけるドローン自律飛行技術の開発加速
2. ユーザー各社の現場における実証実験(PoC)および共同開発の推進
3. システムインテグレーター、センシングおよび光学系などを中心としたソリューションパートナー企業の開拓とアライアンス構築

各社コメント

・テックアクセルベンチャーズ 投資パートナー 大場 正利 氏

 テックアクセルベンチャーズは、Spiralのマーカーによる非GPS環境下でのドローン飛行制御と基礎技術を高く評価し、自律飛行が求められる非SLAM屋内型ドローンソリューションによる市場・産業への貢献を期待して出資をしました。Spiralの事業に向き合う情熱とチャレンジ精神に共感し、今後さまざまな現場での実証実験などを通じて、事業の発展と展開を楽しみにしております。

・MIRAISE Partner & CEO 岩田 真一 氏

 「Technology as Enabler」― これはMIRAISE(ミレイズ)が出資する際の最重要ポイントです。制御工学のスペシャリストで起業家である石川さん率いるSpiral社は技術に溺れることなく、あくまでも顧客目線に立ち、自分たちの技術を使って安価で実用的なソリューション開発に徹底的に拘っています。Spiralはドローンを作らないドローンの会社。顧客のニーズを汲み取り、GPSの使えない屋内において、ドローン機体に依存しない完全自動運転の制御システムを作っています。Spiralのエンジニアチームが生み出すソリューションによって、これまで膨大な時間を要し、時に危険を伴う点検などの作業が自動化されます。建築分野を始め、今後幅広い分野に活用されることを期待しています。

・静岡キャピタル 代表取締役社長 水谷 林蔵 氏

 Spiral社は、飛行指示とフェイルセーフ指示を書き込んだマーカーをドローン搭載カメラで読み取り、無線などの通信に依存せずに自律飛行をする仕組みを特許化しており、近い将来のユーザー候補群と実証実験を重ねています。さまざまな業界が慢性的な人手不足のなか、このコア技術によって、これまでヒトが担ってきた単純作業のプロセスの一部が機械化・自動化され、現場の生産性が飛躍的に向上することを期待するとともに、広く社会実装されていくことを楽しみにしています。

・Spiral 代表取締役CEO 石川 知寛 氏

 創業から3年経ち、「ドローンは、大空のもとで使用!」という風潮に変化を感じています。建築、土木、物流、商業施設など、今後益々増えていく「屋内ドローン」の需要に応えるべく、開発を加速させて年内のサービスリリースを目指します。合同会社テックアクセルベンチャーズ、合同会社MIRAISEおよび静岡キャピタル株式会社から出資いただいた資金を最大限に活用し、MFAの製品化において最重要課題である制御モジュールの小型化に注力します。
 さらに今後は、シンガポール、ドバイ、ルクセンブルク、フランスなど海外展開も視野に入れ、国内外からエンジニアを積極的に採用し、グローバルチームの構築を強化します。
 世界中の屋内現場で効率化・省人化を実現する「飛行ロボット」の普及を目指して、Spiralは開拓に取り組みます。

左から、テックアクセルベンチャーズ アソシエイト萩沢巧氏、同投資パートナー大場正利氏、Spiral代表取締役CEO石川知寛氏、同取締役COO濱地健史氏、ミレイズPartner & CEO岩田真一氏、同CTO布田隆介氏

Spiralについて

 株式会社Spiral(スパイラル)は、GPSが届かない環境(屋内)において、ドローンの自律飛行を可能にする「MarkFlex®Air」を開発する企業である。非SLAMの屋内型ドローン自律飛行システムMarkFlex®Airは、あらゆる機体に後付が可能で、導入コストを削減できるだけでなく現場で簡単に飛行ルートを変更できる。現場目線での研究開発を重視し、世の中にない価値創出を目指している。

同社インタビュー :eiicon「紙を貼って飛ばすだけ」―Spiralの屋内用ドローンは、建設現場の課題を払拭する起爆剤となる。https://eiicon.net/articles/1629

※SLAM:地図作成と自己位置推定を同時に行う技術の総称

<会社概要>
本社 :東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト 秋葉原ビル12階 DMM.make AKIBA内
開発拠点 :東京都葛飾区堀切2-49-2
代表者 :代表取締役CEO 石川知寛
設立 :2016年10月27日
事業内容 :非GPS環境下におけるドローン自律飛行システムの開発
Web https://spiral-robotics.com/