2019年12月26日、ANAホールディングスと五島市は、自律制御システム研究所(以下 ACSL)、NTTドコモ(以下 ドコモ)、プロダクションナップ(以下 NAP)協力のもと、長崎県五島市における有人島間にドローンを用いた物流網を構築し、二次離島地域住民の生活利便性を向上することを目指したドローンによる物流の実証(第二期)を実施することを発表した。一部期間中、東京から1,050km離れた長崎県五島市のドローンを操作する遠隔運航管理拠点を、羽田空港内に設置する。

実証実験概要

1. 日時
第一期検証 2019年9月25日(水)~10月4日(金)実施済み
第二期検証 2020年1月8日(水)~1月17日(金)を予定

2. 飛行区間 :福江島~黄島および赤島

3. 運搬物 :生活用品、食品、市販薬・医療検体等を予定

4. 黄島および赤島について
・赤島 :福江島の南、約7km沖に位置する有人島。福江港からは約15km、定期船で30分程度。商店、水道はなく、福江島から食料等を取り寄せるか福江島に買い物に出る。昭和30年には350人以上が暮らし、伊勢海老等の漁が盛んだった。現在は、美しい自然に囲まれた島で雨水を貯蔵して10世帯13人が生活する。
・黄島 :福江島の南、約8km沖に位置する。定期船が1日に2回、福江〜赤島~黄島と結ぶ。島内には商店が1軒と民宿が2軒あり、水道は整備されている。昭和30年には約650人いた島で現在は、28世帯40人が生活する。釣りの聖地と言われる五島の中でも、釣り客が集う。

各社の主な役割

・ANAホールディングス :ドローンの運航管理(本事業の受託事業者)、協議会事務局
・ACSL :機体の提供および運航サポート
・ドコモ :ドローンの上空飛行に係るLTEネットワークの提供、およびdocomo sky™(ドコモスカイ)の運航支援基盤による上空の電波状況を考慮した運航計画の策定支援 ※「docomo sky」は、NTTドコモの商標
・NAP :運航サポート
・五島市 :本事業の発注者。検証対象となる地域及び関係者との調整等

本事業について

 長崎県五島市は、11の有人島と52の無人島からなる。住民サービスの観点から離島部の利便性の向上を目指し、この11の有人島間の物流の将来にドローン物流の実運用と、市内雇用の創出を目指す事業を平成30年度から実施。平成30年度は奈留島〜前島間の物流実証において、人口24人の前島に奈留島から模擬薬と食料品の輸送を試みた。

 令和元年度事業では、五島市無人物流社会実装推進協議会を設立し、発注から受け取りまでの仕組みの検討及び検証、ならびに市内でドローン物流オペレーションを担う人材を育成し、将来的な市内離島部でのドローン物流の実用化を目指す。

 なお、本事業は内閣府地方創生推進交付金事業ドローンi-Landプロジェクトの一環として実施される。

塩津港~黄島、赤島間ドローン輸送検証について

 五島市協力の元、ANAホールディングスにて、1月8日から1月17日までの10日間、塩津港〜黄島町191付近の船着き場間、塩津港~赤島町412の敷地内間、および塩津港~赤島町船着き場間のドローン輸送検証を実施する。

検証概要

1. 日時
2020年1月8日(水)~1月17日(金)9:00~17:30
※ 1月9日、10日、15日、16日は報道機関に公開する可能性あり
※ 降雨量10㎜/h以下決行、荒天時中止の予定

2. 目的
・ドローン物流の実現性の確認(補助者なし目視外飛行)
・LTEネットワークを利用したドローン運航管理の実現

3. 飛行経路
塩津港〜黄島町191付近の船着き場および赤島町412の敷地内間の往復

左)飛行経路、右)塩津港離着陸地点
左)黄島離着陸地点、右)赤島離着陸地点

4. 輸送物
日用品、常温の弁当・惣菜、医薬品を模擬した物等を輸送する(重量1.5kg以下の物)

5. ドローン機体
ACSL社製のドローン(ANA仕様、完全自律飛行型)

6. 実施者
検証は、ANAホールディングスが実施する