2019年11月19日、アイ・ロボティクスは、外壁に密着して移動し洗浄・補修・探傷・打音といった物理作業が可能な壁面吸着型作業ロボットによるソリューションを開発し、国内外のプラント・倉庫・商業施設などへの提供を順次開始することを発表した。

 さらに、その他のドローンやロボットの運用と組み合わせたプラント建屋メンテナンスに対するトータル・ソリューションの立案を行う。これにより、従来の足場を組む高所作業工程に比べ、一般的に50%~90%(理論値)の工期短縮とコスト低減が見込まれるという。

 なお、2019年11月20日(水)~22日(金)に幕張メッセで開催される第32回プラントショーにて、同ソリューションの発表展示を行う。

▼プラントショー(INCHEM TOKYO)
https://www.jma.or.jp/INCHEM/outline/plant.html
ブース番号:4ホール No.4A-04(株式会社リックス ブース内)

背景

 国内の大規模プラントや特殊建築物は、建築から数十年を経て老朽化対策が課題となっており、沿海部に建てられていることも多いため、腐食を防ぐためにも恒常的に外壁のメンテナンスを必要としている。

 また、高所においては足場を組んでから作業をするために、工期が長くなることや、労働人口減少による職人不足が課題として挙げられており、抜本的な対策が求められている。更に、昨今の異常気象を背景とした、強風などによる足場倒壊、ゴンドラの落下等の事故は、国内のみならず世界各地で頻繁に起きており、高所作業におけるテクノロジーを活用した代替案の登場が待たれていた。

 そのため、アイ・ロボティクスでは社会課題の解決を目指し、いち早くこの課題を解決する革新的な高所作業ロボットの開発に取り組んできたという。

壁面メンテナンスソリューションの特徴

・高さ20m超の壁面に接触しての作業が可能

 独自の吊り下げ式ウインチ機構と壁面吸着機構、及び役務作業機材や制御プログラム等の組み合わせ(特許申請中)により、従来は足場が必要だった20m以上の高所においても遠隔・プログラム操作でスムーズに物理検査・洗浄・補修などの作業が可能である。

・ドローンとの組み合わせ作業が可能

 屋上への侵入が難しい建屋の壁面においては、上空に飛行させた特殊ドローンにより壁面吸着作業機の上下左右の移動を補助して運用することが可能である。
※実際の作業内容は現場により異なる。また、同サービスに使われる機器単体(ドローンを含む)の販売は計画していない。

・特殊な飛行申請を必要としない作業

 独自の吊り下げ機構と壁面吸着機構の組み合わせ(特許出願中)により、特殊な飛行申請を不要とし、安全かつ確実に作業を遂行することができる。従来は飛行申請に手間が掛かった都市部でのドローン検査作業も、壁面吸着型ロボットを利用することにより飛行申請の手間が大幅に減免される。

・独自の保険カバー

 三井住友海上との連携により、アイ・ロボティクスの提供するサービスには、対物10億円の補償が付加される。詳しくは以下を参照。

▼三井住友海上と連携し10億円の保険を標準適用(アイ・ロボティクス)
https://www.irobotics.jp/post/__smi

ソリューションのメリット

※実際の作業は従来型の工法とロボット作業のメリットを組み合わせた形で行われるので、高所作業の人材不足に対応しながら徐々に現場人員をロボット作業が行えるよう訓練していくことが可能。

想定される対象

石油精製所・石油化学プラント・製鉄所・ガスプラント・製紙工場・造船所・大規模製造工場・大規模倉庫・空港・港湾設備・発電所(火力・原子力)・核燃料廃棄物処理場・商業施設等の大規模施設における洗浄・清掃・補修・探傷検査・打音検査

今後の展開

 アイ・ロボティクスでは、今後さらに同サービスの利用希望者、及び現場実証パートナー企業を募集している。また同時に、今後の自動化・防爆化・海外仕様開発等における開発費を第三者割当増資により資金調達することとしている。