第8回国際 建設・測量展(CSPI2026)の会場において、ドローン関連事業者として最大級の規模のブースを出展していたのが、オリジナルのLiDARやエンジンハイブリッドドローンなどを展開するアミューズワンセルフだ。同社は今年リリースしたばかりのドローン「GLOW Rev.2.0」シリーズや、LiDARの「TDOT 7 GREEN LITE」といった新製品を展示する中に、雨天対応型のエンジンハイブリッドドローンや、スキャナーを2個搭載したLiDARの試作品を参考出品していた。

雨天飛行を実現する「GLOW.WP CONCEPT」の設計思想

 毎年、CSPIにおいて新しい取り組みを披露しているアミューズワンセルフだが、今年は雨天対応型エンジンハイブリッドドローン、耐風速25m/sのドローンと、より精緻なデータを収集できるデュアルスキャナー搭載LiDARを出展した。

写真:展示ブースの様子
写真:展示されたGLOWシリーズ
写真:展示された「TDOT 7 GREEN LITE」(DJI Matrice 400に装着)
第二世代となったGLOWシリーズや小型軽量のグリーンレーザーLiDAR「TDOT 7 GREEN LITE」などが展示されていた。
写真:豊田通商の展示スペース
写真:豊田通商のプレゼンテーションの様子
2025年に出資を受ける形でパートナーとなった豊田通商のプレゼンテーションも行われていた。

 「GLOW.WP CONCEPT」と名付けられたコンセプトモデルは、“WP”が“Water Proof”の略で、文字通り雨天でも飛行可能なドローン。同時に、ブースの説明員が“全部入り”と謳うこのドローンは、現在のアミューズワンセルフの技術の粋を集めたモデルとなっている。

 機体を制御・監視する通信は、モバイル通信のSIMを2枚使ういわゆるデュアルSIMとなっており、さらに専用のアンテナを装備するなど衛星通信にも対応しており、山間部や海上といったモバイル通信の不感地帯を排除。また、GNSSは一般的なGPSなどに加えて、QZSSみちびきのL6にも対応している。

 カメラにはベトナムのGremsyが昨年リリースした球体状のジンバルカメラ「ORUS-L」を採用。光学30倍ズームが可能な可視光4Kカメラのほか、640×512ピクセルの解像度を持つサーマルカメラに加えて、最大2.4kmまで計測可能なレーザー距離計を搭載。このORUS-Lのサーマルカメラは、米国の国防調達基準であるBlue UASに対応したFLIRのセンサーを採用している。

 機体はモノコック構造のカーボン製フレームに対してローターアームが接続され、内部には発電用の小川精機製空冷エンジンを搭載。胴体上部もスクエアなフォルムのカウリングで覆われているが、内部はエアフローが緻密に設計されており、エンジンの十分な冷却を実現しているという。また、このスマートなデザインの胴体の内部には、燃料タンクやパラシュート、バッテリーなどが巧みにレイアウトされている。

 飛行時には周囲全方向の障害物を50mの距離で検知するほか、下方には日本航空電子工業製の超音波距離計を搭載し、高度を管理する。「雨天ではLiDARのようなレーザーが使えないため、超音波距離計を採用した」(説明員)という。

 このドローンは、「測量会社が国のプロジェクトとしてエンジンハイブリッドドローンのGLOW.Hを用いて実施していた国のプロジェクトの実証実験を通じて生まれたニーズを全部吸い上げて作った」(説明員)モデルだという。そのため、用途は「一般ユーザーというよりも、防災や防衛分野の調査向け」(説明員)だという。

写真:展示された「GLOW.WP CONCEPT」
雨天対応ハイブリッドドローン「GLOW.WP CONCEPT」。
写真:「GLOW.WP CONCEPT」機体後部
機体後面にはパラシュート(黒色の四角い部分)と排気用ファンがある。
写真:「GLOW.WP CONCEPT」の上面
上面には衛星通信用アンテナ、給油口、ハンドグリップが並ぶ。
写真:「GLOW.WP CONCEPT」の排気口
巧みにデザインされた排気口。
写真:「GLOW.WP CONCEPT」のバッテリー部分
胴体の両側面にはホットスワップも可能なサブバッテリーを搭載。

強風下での運用を目指す「GLOW.AW CONCEPT」

 アミューズワンセルフが今回参考出品したもう一つのドローンは、強風下でも飛行が可能な悪天候対応型ドローン「GLOW.AW CONCEPT」だ。「もともと国土交通省のプロジェクトのひとつとして、強風下でも飛行できる全天候型ドローン『GALE』を開発していた。そのローターシステムを、GLOW.L Rev.2.0に移植する形で作ったドローン」(説明員)だという。

 GALEは8本のアームを備えた二重反転式オクトコプターであったが、GLOW.AWはベースとなったGLOW.L Rev.2.0と同じく4本のアームの上下に2つのモーターを備えるスタイルとなっている。また、ローターブレード(プロペラ)がGLOW.L Rev.2.0に比べるとブレードが非常に短くなっているのも特徴だ。「プロペラが小さくなるとモーターの回転数が上げられる。回転数が高ければ制御の分解能が高まり、強風下でも安定した飛行ができる」(説明員)という。同社ではこの強風下でも飛行できる全天候型ドローンを、GALEの後継として位置付けているとみられる。

写真:展示された「GLOW.AW CONCEPT」
悪天候対応型ドローン「GLOW.AW CONCEPT」
写真:「GLOW.AW CONCEPT」のローター部分
1本のアームの上下にモーターを配置する二重反転式。ベースモデルに比べてブレードの長さが短いのが特徴。

デュアルレーザースキャナーで高密度計測を実現

 現在、アミューズワンセルフの製品ラインナップの柱のひとつがLiDARだ。「TDOT」ブランドで展開する同社のLiDARは、浅い水の中まで測量できるグリーンレーザーを使ったモデルが今や主力となっている。今回のブースではDJIのMatriceシリーズに搭載可能な小型軽量な「TDOT 7 GREEN LITE」を中心に製品を展示していた。

 さらに、参考出品として2つのレーザースキャナーを搭載する「TDOT OBLIQUE CONCEPT」を出展。このLiDARは『Oblique=斜め』という名前の通り、2つのレーザースキャナーを前後にそれぞれ22°ずつ傾けてレーザーが照射されるように搭載しているのが大きな特徴だ。スキャナーがふたつあることで、「点密度が既製品の4倍」(説明員)の64万点を実現。

 また、「レーザーは水面に対して22度の角度で入るのが最も効率が高い」(説明員)といい、同時に前後にそれぞれ22度傾いていることで、垂直面や死角となる箇所を減らすことができるオブリーク撮影と同じ効果が得られるという。なお、実際にはドローンが前進時に前傾することを考慮して、実際には前側のスキャナーは27度、後ろ側のスキャナーは17度の角度が付けられている。

 今回の展示では参考出品という扱いではあったものの、すでに複数の予約注文が入っているといい、近日中のリリースを目指して開発が進められている。

写真:「TDOT OBLIQUE CONCEPT」
写真:「TDOT OBLIQUE CONCEPT」の水中へのレーザーの入射角
「TDOT OBLIQUE CONCEPT」。2つのレーザースキャナーを前後にそれぞれ22度傾けて搭載している。
写真:「TDOT OBLIQUE CONCEPT」の前方用スキャナー
下面前側(写真の右側)の四角い黒い窓が前方用スキャナー。
写真:「TDOT OBLIQUE CONCEPT」の後方用スキャナー
下面後側にも後方用スキャナー(下面右側の窓)が搭載されている。

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