1月13日、株式会社経済界が主催する「第50回 経済界大賞」の表彰式が行われ、狭小空間点検ドローンを手がけるLiberaware(リベラウェア)が、インフラ老朽化という“待ったなし”の社会課題に対し、現場で機能する技術を磨いてきた企業として「ベンチャー経営者賞」を受賞した。
「経済界大賞」は、経済業界誌「経済界」を発行する株式会社経済界が主催し、1975年から続く歴史ある顕彰制度だ。優れた経営手腕を発揮した経営者を表彰し、節目となる50回目の今回は、大賞にKDDI会長の髙橋 誠氏が選ばれたほか、優秀経営者賞や社会貢献賞など計10名が受賞した。その中でドローンを専門とする企業が受賞したことで、“ドローンの必要性”が再確認された。
経済界が語った「第50回」の節目
開会の挨拶に立った株式会社経済界 代表取締役会長の佐藤氏は、昨年9月に上場企業ZUUグループとの連結を経て、自身が代表権のある会長に就任した経緯に触れながら、「50回目を開催できることを嬉しく思います」と節目の開催を喜んだ。さらに、時代の変化を見据えつつ「お客様のために働いてまいります」と語り、主催者としての推進力をにじませた。
リベラウェア受賞の意味──「事故対応」から「予防」へ、狭小空間点検の社会実装を押し上げる
今回、リベラウェアの閔代表が「ベンチャー経営者賞」を受賞した背景には、埼玉県八潮市の道路陥没事故での実績や、社会インフラの維持・点検への貢献が高く評価されたことがある。
授賞式でも、審査委員長の武藤氏が講評の中で、同社の小型ドローンが事故現場で行方不明となったトラックの発見に寄与した点に触れ、「インフラの老朽化が進む日本において、大きな武器となります」と位置づけた。この一言は、狭く・暗く・危険な屋内空間に特化した“世界最小級”の機体開発と、取得データを解析して提供する同社のソリューションが、社会課題の中枢に入りつつあることを端的に表している。
当日の受賞スピーチで閔代表は、「インフラの老朽化が進み、水道や橋梁など各所のリスクが顕在化するなかで、日本の課題を解決していきます」という意思を語った。さらに直近の活用例として原子力発電所内部の点検にも触れつつ、ドローンが軍事用途で語られがちな時代だからこそ「本当に安全な社会を作っていきたい」と強調した。
加えて、今回の受賞を「いまの日本において、私たちの技術が社会から求められている表れだと感じています」と受け止める一方で、「今回の背景には、痛ましい事故をきっかけにドローンの活用が広がり、現場での取り組みが進んだという経緯があります。その点で評価いただけたのはありがたい一方で、事故や被害が前提になっている状況を、手放しで喜ぶべきではないとも感じています。今後は、そうした出来事が起きない社会を実現していく中で、私たちの取り組みが評価されることを目指します」とドローンジャーナルの取材にコメントした。
また、2026年に目指す事業展開やビジョンについて、「2026年は、その流れを確かな『社会実装』へつなげる一年にしたいと考えています。地道に現場へ実装し続けることで、少しでも現場の皆さまの負担を減らし、結果として安全な社会の実現に貢献できるよう取り組んでいきます」と説明した。
なお、今回の受賞者には、通信・エンタメ・外食・百貨店・投資・ダイバーシティ・福祉×ビジネスまで、多様な領域の経営者が並んだ。第50回の主な受賞者は以下の通り。
- 大賞:髙橋 誠(KDDI会長)
- 優秀経営者賞:宇野 康秀(U-NEXT HOLDINGS 社長CEO)、粟田 貴也(トリドールホールディングス 社長兼CEO)
- 特別賞:古屋 毅彦(松屋 社長)
- ベンチャー経営者賞:吉村 英毅(ミダスキャピタル 代表パートナー)、堀江 裕介(クラシル 社長)、閔 弘圭(Liberaware CEO)
- ダイバーシティ賞:前川 彩香(LOIVE 社長)
- 社会貢献賞:松田 崇弥・松田 文登(ヘラルボニー Co-CEO)
リベラウェアは、インフラの狭小部や暗部といった人が入りづらい場所、見えないリスクを可視化し、維持管理の現場に実装していく担い手として評価された。ドローンの価値が「飛ばせること」から「現場の安全を守ること」へ移る今、今回の受賞は、同社にとっての節目であると同時に、点検ドローン市場が社会課題の中心に近づいていることを示す出来事だった。
