ブルーイノベーションは、2026年7月15~17日に東京ビッグサイトで開催された「第12回 国際ドローン展(メンテナンス・レジリエンス 2026内)」に、ドローンポートを活用した自動巡回システムや、送電線点検用の小型モジュール「BEPラインmini」などを展示した。同社は今回、「人が行う巡回から、自動巡回へ」などをテーマに、ドローンやロボットを活用したインフラ点検・防災分野の省人化を提案した。
これらのソリューションの基盤となるのが、同社独自のデバイス・データ統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」である。BEPはドローンやロボット、センサーなどを接続・連携し、機器の移動・遠隔制御から、取得したデータの保存・監視、運行管理までを一元化する。異なるデバイスを個別に操作するのではなく、業務全体を一つのシステムとして自動化するための基盤という位置付けだ。
平時の巡回から災害時の初動対応まで自動化する「BEPポート」
「BEPポート|ドローン自動巡回システム」は、ドローンとドローンポートを組み合わせ、離着陸や充電、巡回飛行、データ取得などを自動化するシステムである。平時にはダムや河川などのインフラを定期的に巡回し、遠隔地から状況を確認できる。災害発生時には、上空から被災状況を把握するといった用途にも活用できる。
防災分野では、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連携し、警報発令時にドローンを自動で飛行させるシステムも実用化している。仙台市では2022年10月から「津波避難広報ドローンシステム」を運用。スピーカーとカメラを搭載したドローンが自動離陸し、あらかじめ設定した海岸線や河口付近を飛行しながら避難を呼びかけるとともに、撮影した映像を災害対策本部へ送信する。飛行終了後の帰還や自動給電まで一連の動作を自動化している。
2024年1月の能登半島地震では、石川県輪島市町野町の牛尾川で発生した土砂ダムの監視にもBEPポートを投入した。道路が寸断され、人が近づくことが難しい状況のなか、ポートからドローンを自動離着陸させ、河川上流を往復約3km飛行。土砂ダムの状況を定期的に撮影した。
さらに2025年4月には、千葉県一宮町でも津波避難広報システムの運用を開始した。仙台市に続く2例目の社会実装で、町役場と東浪見小学校の屋上にドローンポートを設置。津波注意報以上が発令された際には、約7.5kmにわたる海岸エリアで避難広報と状況把握を行う。
現在は津波対応からさらに対象を広げ、地震、洪水、土砂災害、林野火災などを想定した災害初動対応の自動化にも取り組んでいる。ブルーイノベーションは東京都立産業技術研究センターと共同で、Jアラート受信から1分以内の自動離陸や、避難広報、被災状況確認、要救助者の捜索といった複数のミッションを連続して実行するシステムの開発を進めている。
750gから200g未満へ、小型化した「BEPラインmini」
送電線点検ソリューション「BEPライン」は、ドローンと独自の送電線追従制御モジュールを組み合わせたシステムだ。送電線までの離隔距離をリアルタイムで計測し、一定距離を維持しながら送電線に沿って自動追従飛行する。たわみや高低差のある送電線を近接撮影する際に求められる操縦を自動化し、点検作業の標準化を図る。
同システムは東京電力ホールディングス、テプコシステムズとの共同開発を起点に約3年間の実証を経て実運用へ移行した。ブルーイノベーションによると、実運用開始から4年以上にわたり利用され、現在では複数の電力会社で導入案件が20件を超えているという。
今回展示した「BEPラインmini」は、従来750gだった送電線追従制御モジュールを200g未満まで小型・軽量化したモデルである。従来比で約73%軽量化し、DJI Matrice 350などの大型機だけでなく、DJI Matrice 30などの小型ドローンにも搭載できるようになった。
開発の背景には、送電線点検を行う電力会社などから寄せられた「山間部へ持ち運びやすい小型機で運用したい」という要望がある。大型ドローンはペイロード面で余裕がある一方、車両が入りにくい山間部では機体や関連機材の運搬が負担となる。モジュールを軽量化して小型機に対応することで、こうした場所での運用範囲を広げる狙いだ。
ブルーイノベーションは、BEPラインによって熟練操縦者に依存していた送電線への近接飛行を自動化するとともに、今後は取得した点検データの解析にも機能を広げる方針だ。報告書の自動作成などに加え、蓄積した点検データをAIで解析し、異常の把握から予兆保全までを一体化する構想を示している。
ブルーイノベーションの今回の展示からは、ドローンそのものを導入する段階から、ポートによる常設・自動運用や、専用モジュールによる点検作業の標準化へと取り組みが移っていることが分かる。平時のインフラ巡回から災害時の初動対応、送電線の近接点検まで、BEPを基盤にドローンの運用を自動化していくことが同社の狙いだ。
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