ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)は、7月15日~17日に東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス2026」に出展。ドローンを活用した橋梁点検サービスのほか、自社開発のボート型ドローン「Waymark Boat」、橋梁点検用デジタル野帳アプリ「Waymark Note」などを展示した。橋梁の上部構造から水中の橋脚周辺、点検データの管理までを支援する技術が並んでいた。
同社は、2019年4月にNTT西日本の完全子会社として設立され、ドローンやAIを活用したインフラ点検・診断サービスを展開してきた。現在はNTT西日本のほか、電力会社やガス会社、建設コンサルタントなど複数の企業が出資している。
累計1551橋の点検実績、非GPS環境でも橋桁へ接近
JIWは、2019~2025年度に全国で累計1551橋の橋梁点検を実施してきた。米Skydio製の「Skydio R2 for Japanese Inspection(通称J2)」や「Skydio X10」を使用し、いち早く橋梁点検にドローンを活用してきている。
J2は、撮影用カメラのほかに機体周囲を認識する6台のカメラを搭載し、画像を用いて自己位置を把握する。GNSS(全球測位衛星システム)を利用しにくい橋桁下などでも飛行でき、構造物との距離を保ちながら床版や橋桁を撮影する。撮影画像を事務所などで解析することで、幅0.1mmのひび割れを確認できるとしている。なお、J2は通常のモデルよりも障害物センサーを細かに調整できるなど、日本のインフラ点検用に改良されたモデルとなっている。
Skydio X10は、暗所飛行を支援するLEDライトや赤外線カメラ、約6400万画素の可視光カメラを搭載し、最大飛行時間は約40分。防塵・防水性能はIP55で、J2よりも大型の橋梁や暗所を含む点検への活用を想定している。
ドローンで橋梁全体を撮影して損傷箇所を絞り込み、必要な場所を近接目視するスクリーニング点検に活用することで、橋梁点検車やロープアクセスを使用する範囲を減らせる。同社の事例では、橋梁の規模や構造、対象数などの条件により、現場作業を1~2日程度短縮できたケースがあるという。
ソナー搭載の「Waymark Boat」で橋脚周辺の洗掘を調査
Skydioのほかに、自社開発した全方向水面移動式ボート型の水上ドローン「Waymark Boat」が展示されていた。機体は全長120cm、全幅85cm、高さ28cmで、ソナーを含む重量は15kg。水面上を全方向へ移動でき、機体中央に搭載したソナーで橋脚周辺の河床形状や洗掘の状況を計測する。洗掘とは、水流によって橋脚周辺の土砂が削られ、河床が低下する現象である。進行すると橋脚基礎の安定性に影響する可能性があるため、橋梁の維持管理では河床の状況を継続的に把握する必要がある。
従来の洗掘調査では、潜水士による目視調査や、橋上から重りを付けたロープを下ろして河床の高さを測る方法などが用いられてきた。Waymark Boatでは、ソナーの計測結果を手元のモニターで確認できるほか、取得したデータから等深線図や断面図を作成できる。現場条件によっては潜水作業や橋上での計測作業を減らし、調査の省力化と安全性向上につなげられるという。
点検写真と損傷情報を「Waymark Note」で一元管理
橋梁点検用デジタル野帳アプリ「Waymark Note」は、2025年5月22日に正式提供を開始したiPad向けアプリである。ドローンやデジタルカメラで撮影した写真に、撮影位置や部材名、ひび割れなどの損傷情報をひも付けて管理できる。現場で入力した情報はクラウドを介して事務所側でも共有でき、点検後の写真整理や調書への転記作業を減らせる。
過年度の点検調書をアプリに取り込み、前回の点検結果を確認しながら変化のあった箇所だけを更新する機能も備える。記録した情報はCSV形式などで出力でき、既存の調書作成システムにも活用できる。
同社によると、導入企業の事例では、現場での作業時間を最大44%、事務所での作業時間を最大55%削減した。正式リリースから1年となる2026年5月には、利用登録社数が400社を超えたという。
JIWは、飛行ドローンによる橋梁上部の撮影、ボート型ドローンによる水中部の調査、Waymark Noteによる情報管理を組み合わせ、橋梁点検の現場作業から調書作成までの効率化を提案していた。
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