6月3日から5日にかけて、千葉県・幕張メッセで開催された「Japan Drone 2026」に、自動車向け板金加工を手がけるトピアが出展した。レーシングカーのボディやモノコックなどで培ったカーボン加工技術を強みに、自社開発の大型ドローンや量産工場の構想、共同開発中の球体型ドローンを展示し、ドローン分野への取り組みを紹介した。
展示内容は、大きく3つに分けられる。1つ目は、自社開発の大型ドローンだ。ブースでは約5m四方の大型ヘキサコプターを展示し、多くの来場者の注目を集めていた。機体下部には荷室を設け、機体の主要構造はカーボンで形成されている。最大100kgのペイロードに対応する機体を目指して開発を進めている。
特徴は、機体の主要構造にカーボン素材を採用していることだ。担当者は「近年、弊社は航空宇宙分野の部品製造にも携わるようになりました。基本構想からモデリング、製造までを一貫して行えることが強みです。自社でカーボン加工まで手がけるドローンメーカーは多くないと考え、これまで培ってきたノウハウを生かして、複雑なカーボン加工や部品の軽量化に取り組んできました。また、展示した大型ドローンは販売を目的としたものではありません。弊社の技術でこのようなドローンも設計できるということを伝えるのが目的です」と開発の狙いを説明した。
展示機はモックアップではなく飛行可能な試作機で、すでに飛行試験も実施している。構想開始から初飛行まで約5か月という短期間で開発を進められた背景には、カーレースで培った短納期の試作・製造技術があるという。
各部にも同社の加工技術が反映されている。アームには中空2層構造を採用し、上層に配線を通し、下層は空洞として放熱性を考慮した設計とした。プロペラも自社開発で、すべてカーボン製だ。
ドローン量産を見据えた製造体制も提案
2つ目が、ドローン量産を見据えた製造体制の提案だ。将来を想定した「ドローン量産工場」のジオラマを展示。自動車業界で培った量産技術を生かし、試作機や小ロット部品の製造だけでなく、生産設備の設計や工場レイアウトの構築まで対応できることをアピールした。
素材加工技術や量産体制の構築支援といった同社の強みは、現在のドローン業界では比較的少ない領域だという。担当者は、軽量化を目指すドローンメーカーなどから協業の相談も寄せられていると話す。
JSTプロジェクトで開発する球体型ドローン
3つ目は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の研究プロジェクトで開発を進める球体型ドローンだ。トピアは、型式認証機の開発を進めるイームズロボティクスと、エアロネクストと共同でプロジェクトに参画している。
同プロジェクトは「災害・緊急時等に活用可能な革新的自律制御ドローン及び自律分散協調飛行制御技術の研究開発」として進められており、展示された物流専用ドローンは、耐環境性の向上を目指した物流機体として開発されている。
最大の特徴は、クアッドコプターでありながら補助翼を備えている点だ。巡航時は補助翼で揚力を生み出し、消費電力を抑えることで長距離飛行の実現を目指している。一般的なマルチコプターは前進飛行時に機体が前傾するため、補助翼を固定するとダウンフォースが発生し、飛行性能へ影響を与える可能性がある。このため、本機では補助翼を機体とは独立して可動させ、機体姿勢が変化しても翼の角度を一定に保つ構造を採用した。
開発初期から空力設計を重視し、風洞実験やCFD(数値流体力学)解析、2分の1スケールモデルによる評価を重ねて設計を進めた。その結果、目標としていた「ホバリング時と比べて巡航時の消費電流を約3割削減」を達成したという。これまでに累計50時間以上の飛行試験も実施している。トピアは、この機体の試作機製造を担当した。今後製品化が進めば、同社の製造技術や量産ノウハウが生かされることも期待される。
今回の展示は、ドローンの国内量産に向けて、自動車業界をはじめとする製造業との連携が有力な選択肢の一つとなる可能性を示す内容だった。異業種の製造技術を取り込む取り組みは、国内でのドローン製造基盤の強化につながる可能性がある。
#Japan Drone 2026 記事
