2026年6月3日から5日にかけて、千葉県・幕張メッセで「Japan Drone 2026」が開催された。フライトコントローラー(以下、FC)の開発を手がけるスタートアップ、Autonomy Dynamicsが初出展した。自社開発のフライトコントローラーを搭載した試作ドローン「Guardian Zero Ver1(仮称)」を公開し、国産FCの開発状況を紹介した。

 Autonomy Dynamicsは2025年9月に創業した企業で、「国産のものづくり」にこだわり、ドローン本体とAI応用ソフトウェアを組み合わせた業務効率化ソリューションの提供を目指している。なかでも開発の中核となるのが、飛行の安定性や自律性を支えるFCだ。同社ではハードウェア、ソフトウェアの両面を自社で設計・開発している。

経済安全保障を背景に高まる国産フライトコントローラーの重要性

 FCは、機体の姿勢や飛行安定性を制御するドローンの中枢部品である。産業用ドローンでは、ArduPilotやPX4といったオープンソースのフライトコードを採用する機体が多く見受けられる。オープンソースは、1から開発する手間を省略でき、開発コストも抑えられる。自由に調整・改良できるというメリットがあり、多くのメーカーが活用しているのが現状だ。

 一方で、ドローンの用途が物流やインフラ点検、防災、防衛などへ広がる中、より高い信頼性や安全性、独自機能への対応が求められ始めている。さらに米中対立をはじめとする地政学的リスクやサプライチェーンの課題を背景に、各国が部品の調達難を恐れ、国産部品に注目が集まっており、ドローンの重要部品であるFCもそのひとつとなっている。

 日本でも2025年12月、ドローンは経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に指定された。機体を構成するバッテリー、モーター・ESC(Electronic Speed Controller)、映像伝送モジュールと並び、FCも重要部品の一つとして位置付けられている。今後は政府機関や行政機関などで使用されるドローンを中心に、国産部品を採用した機体への需要が高まることが見込まれる。

モーター故障時も飛行継続、2027年の製品化を目指す

 こうした市場環境を背景に、Autonomy Dynamicsは独自に国産FCの開発を進めている。同社は各メーカーと連携し、既存のドローンに自社の国産FCを提供したり、国産FCをもとに1から機体設計を行うといったサービスを提供していくとしている。

写真:展示された「Guardian Zero Ver1」試作機
機体開発メーカーの石川エナジーリサーチと共同で開発を行っている「Guardian Zero Ver1」。

 展示会で公開された「Guardian Zero Ver1」は、石川エナジーリサーチの「ビルドフライヤーchrome」をベースに共同で研究を進めているものだ。同機には、Autonomy Dynamics製のFCを搭載している。2026年3月に初飛行に成功しており、現在は風洞実験や実機による飛行試験を重ねながら性能検証を進めている。2027年中に製品化を予定しているという。

 現在はクアッドコプターで評価試験を実施しているが、開発中のFCでは4基のモーターのうち1基が故障した場合でも、残りのモーターを協調制御することで墜落を抑止する技術の開発も進めているという。こうした飛行時の異常への対策は、インフラ点検や災害対応など、高い信頼性が求められる分野での活用を見据えた重要な技術の一つとなる。

 また、現在はFCの量産化を目指し、製造ラインの構築に取り組んでいる。産業用ドローンをはじめ、現在政府が注力している防衛用ドローンへの提供も視野に入れているという。

写真:展示された「Guardian Zero Ver1」試作機の隣に立ちパンフレットを手に持つ舘氏
Autonomy Dynamics 代表取締役社長 舘 良太氏。

 舘社長は、「信頼性のある国産FCを開発し、インフラ点検から防衛用途まで幅広いドローンへ採用していくことで、社会におけるドローン活用の拡大に貢献していきたい」と今後の展望を語った。

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