6月3日から5日までの期間、千葉県の幕張メッセにて「Japan Drone 2026」が開催された。
ドローン関連企業が一堂に集まる中、アミューズワンセルフは独自技術により長時間飛行を実現したマルチコプター型ドローン「GLOW」シリーズや、水中でも減衰しにくいグリーンレーザーを照射するドローン搭載用レーザースキャナー「TDOT」シリーズを展示した。
「GLOW」シリーズは“Rev.2.0”へ!使い勝手を格段に向上
同社は、4月にリリースしたばかりの「GLOW Rev.2.0」を展示。これまで販売してきた「GLOW」シリーズを大幅に改良し、進化させたモデルとなっている。GLOW Rev.2.0は、「GLOW.H Rev.2.0」(ハイブリッド型)と「GLOW.L Rev.2.0」(バッテリー型)の2機種。「GLOW.L」は、6ローターの設計であったが、Rev.2.0では「GLOW.H」と共通設計にするため、4ローターに改良されている。各部品を共通化することによって価格の大幅なコストダウンを実現した。
「GLOW」シリーズの運用では、長距離飛行も可能なことからレベル3.5飛行も視野に入る。そのため、新たに高画質なFPVカメラを採用し、地上の歩行者の有無を確認できる仕様へと改良された。
最大3時間飛行のGLOW.H、広域測量や巡視用途に対応
展示された「GLOW.H Rev.2.0」はレンジエクステンダーと呼ばれるエンジン発電システムを搭載したハイブリッド型ドローンだ。これにより、最大飛行時間は約3時間を可能にした。エンジンを駆動する燃料には、農機具などにも使用される入手しやすい混合ガソリンを採用し、ドローン上部に備えたタンクに最大3リットルまで搭載できる。
GLOW.H Rev.2.0は、最大2.5kgまでのペイロードに対応する。一眼レフカメラやサーマルカメラなどを搭載でき、各種測量、広域撮影、監視、点検などへの活用が想定されている。一般的なマルチコプター型ドローンでは飛行時間が制約となり、広範囲の計測や撮影では複数回の離着陸やバッテリー交換が必要になることが多い。これに対し、最大3時間飛行できるGLOW.H Rev.2.0は、1回のフライトで広いエリアを効率的にカバーできるため、長距離・長時間運用を必要とする業務に適した機体といえる。
一方、リポバッテリーを搭載する「GLOW.L Rev.2.0」も展示していた。飛行時間はGLOW.H Rev.2.0には及ばないものの、最大1時間の飛行が可能な仕様となっている。ペイロードはGLOW.H Rev.2.0の2倍となる最大5kgまで対応しており、重量のあるセンサーや計測機器を搭載する用途に適している。たとえば、同社のドローン搭載用レーザースキャナー「TDOT 7 GREEN LITE」などを用いて地形や水底を詳細に計測する場合には、積載能力に優れるGLOW.L Rev.2.0が有力な選択肢となる。
GLOW Rev.2.0シリーズは、可搬性にも配慮されている。いずれの機体も、ローターを備えたアーム部分を折りたたむことができ、スキッド(脚部)も取り外し可能だ。これにより、宅配便の200サイズ程度のケースに収納できる。現場への搬送性を高めるだけでなく、機体の組み立てにも工具を必要としないため、測量・点検現場での準備時間短縮にもつながる。
機体設計で特徴的なのが、スキッドの取り付け位置を調整できる点だ。一般的なドローンでは、スキッドを機体の左右に取り付けることが多い。しかし、レーザースキャナーはレーザーを振り子のように左右へ振りながら照射するため、脚部がレーザーの照射範囲に干渉する可能性がある。GLOW Rev.2.0シリーズでは、この課題に対応するため、スキッドを機体の前後に取り付けられる構造とした。これにより、レーザー照射時の干渉を抑え、より正確な測量を可能にしている。
TDOT 7 GREEN LITEで水底と陸地を同時測量、狭水域にも強み
ドローン搭載用レーザースキャナー「TDOT 7 GREEN LITE」は、同社のフラッグシップモデルである「TDOT 7 GREEN」の性能を維持しながら、軽量化を図ったモデルだ。ユーザーから要望の多かったDJI Matrice 350やDJI Matrice 400などにも搭載できるようになり、既存の産業用ドローンプラットフォームでグリーンレーザー測量を行いやすくなった。
グリーンレーザーは水中での減衰が比較的小さいため、水面下の地形や水底を計測する用途に適している。TDOT 7 GREEN LITEは120度の照射角度を備えており、水底だけでなく、その左右の陸地も同時に測量できる。これにより、河川、湖沼、沿岸部、港湾、砂防施設周辺など、水域と陸域が連続するエリアの地形把握に有効だ。特に、ボートが進入しにくい狭い水域や、浅瀬、障害物が多い場所では、ドローンによるレーザー測量の利点が大きい。
同社製品の強みは、センサー単体の提供にとどまらない点にもある。機体のセットアップ、飛行、データ取得、解析までをワンストップで実行できるシステムを構築しており、専門的な測量作業をより扱いやすくしている。ドローンレーザー測量では、機体、センサー、飛行計画、取得データの後処理が一体となって成果物の精度を左右する。そのため、機体と計測機器、解析ワークフローを統合して提供できることは、現場導入を進める上で大きな利点となる。
今回の取材に対応した担当者は、国産の中型ドローンに対する期待が高まっていると話す。特に、防衛関係者や、一定の距離・時間を飛行できる機体を探しているユーザーの間では、「脱DJI」や「サプライチェーンの国産化」を意識する動きが強まっているという。政府機関、自治体、インフラ事業者、防衛・警備分野では、機体性能だけでなく、調達先や保守体制、部品供給の安定性も重視されるようになっている。その点で、国内を拠点に開発を進めるアミューズワンセルフのようなメーカーに対する関心は高まっている。
担当者は「弊社では、長距離・長時間飛行が可能という点に特化した機体の開発を進めています」と強みを説明した。GLOW Rev.2.0シリーズは、従来の測量用途に加え、巡視・パトロール領域での活用も期待されている。たとえば、湖や海岸沿いにおける不法投棄の監視業務に使用したいという声があるという。また、従来はバイクや軽自動車で行っていた警備・巡回業務を、ドローンに置き換えたいという需要も出てきている。
長時間飛行が可能な機体であれば、広範囲の巡視を少ない離着陸回数で行うことができる。人が移動しにくい沿岸部、山間部、河川、湖沼周辺などでは、ドローンによる巡視が省人化や安全性向上につながる可能性がある。さらに、サーマルカメラや高倍率カメラ、レーザースキャナーなどのペイロードを組み合わせることで、監視、点検、測量、防災、警備といった複数の用途に展開できる。
アミューズワンセルフでは、豊田通商と連携し、長距離飛行の実証や案件化にも取り組んでいる。こうした実証が実運用へ進めば、長距離・長時間飛行が可能な国産ドローンの活用領域はさらに広がることになる。
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