6月3日から5日の期間、千葉県の幕張メッセにて「Japan Drone 2026」が開催された。ドローン関連企業が一堂に集まる中、精密小型モーターで世界的なシェアを持つニデックが出展した。

 ドローン産業では、機体の飛行性能や信頼性を左右する基幹部品として、モーター、ESC、フライトコントローラー、バッテリー、通信系統など、各種部品に対する重要性が高まっている。現在、国が国産ドローンの開発に力を入れていることもあり、ニデックが提供するモーターやESCにおいても国産部品が求められる場面が年々増加傾向にある。

小型点検機から物流ドローンまで、5種類のブラシレスDCモーターを展示

写真:会場に展示されたドローンのモックアップ
ニデックのコーナーに展示された自社製のモーターやESCを搭載したドローンのモックアップ。

 ニデックは2016年からドローン用モーターの開発を開始。すでにリベラウェアが提供する小型屋内点検用ドローン「IBIS」や、米Skydioのドローン「Skydio X10」に同社製品が採用されるなど、実運用機での搭載実績を積み上げてきた。

 Japan Drone 2026では、ドローンの用途や機体規模に応じて幅広く対応できることを訴求するため、5種類のモーターを展示。最も軽量小型のモデル「24X-2403」は、重量19g。主に空撮や点検、軽量な産業用途で使われる小型ドローン向けのモーターとして位置付けられる。

 一方、展示された中で最も大型・高出力のモデル「84X-8422」は重量598g、最大出力2110Wの仕様となっており、物資輸送用ドローンなど、より大きな推力を必要とする機体での採用を想定している。小型機では軽さや飛行効率、応答性が重視されるのに対し、物流用途などの大型機では、高出力化とともに長時間運用時の熱設計、信頼性、耐久性が重要になる。ニデックはこうした用途の違いに応じて、複数レンジのモーターを展開することで、機体メーカーの設計自由度を高める狙いだ。

写真:プロペラを装着した物流用大型ドローン向けDCモーター
展示された物流用大型ドローン向けDCモーター。

 また同社は、今回展示したモデルに加え、数百kgクラスの大型ドローンに対応する大型モーターの開発も進めていることを明らかにした。物流、防災、警備、農業、インフラ点検などでドローンの大型化・長時間飛行化が進めば、駆動系にはより高い出力密度と耐久性が求められる。ニデックにとって、こうした大型ドローン向けモーターは、今後の産業用無人航空機市場を見据えた重要な開発領域となる。

経済安全保障の観点から高まる国産モーターの重要性

 ドローンをめぐっては、機体そのものだけでなく、搭載される主要部品の供給網も重要な論点になっている。日本では2025年12月、ドローンが経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に指定された。これにより、ドローン産業は単なる成長市場ではなく、災害対応、インフラ維持管理、防衛、警備、物流などを支える戦略的産業として位置付けられることになった。

 その中で、モーターはフライトコントローラーなどと並び、ドローンを構成する重要な部品のひとつとされている。モーターの品質や供給安定性は、機体の安全性、性能、量産性に直結する。今後、政府機関や自治体、重要インフラ事業者などが使用するドローンでは、機体全体の信頼性だけでなく、主要部品の調達先やサプライチェーンの透明性も重視される可能性が高い。

 こうした動きについて、ニデックの担当者は「今後、国産ドローンの開発が加速する方向にあり、モーター供給の需要は高まっていくのではないか」と話していた。国内ドローンメーカーにとって、信頼できる国産部品を安定的に調達できるかどうかは、機体開発や量産化を進める上で重要な条件となる。ニデックのように、精密モーターの開発・量産で実績を持つ企業がドローン分野に本格的に関与することは、国産ドローン産業の競争力強化にもつながる。

 さらに、モーターとESCを組み合わせた駆動系全体の最適化も、今後の技術課題となる。モーター単体の出力や重量だけでなく、ESCによる制御精度、レスポンス、発熱管理、消費電力の最適化が、飛行時間や安定性、安全性を左右するためだ。機体メーカーが求める性能に応じてモーターと制御系を一体で提案できるかどうかは、部品メーカーの競争力を左右する要素になる。

写真:展示されたプロペラ
「セレーション」技術を応用した低騒音プロペラ。

 今回の展示では、モーター以外の技術として、静音化に関する開発も紹介された。ニデックは、フクロウの羽根の構造を参考に、プロペラ形状に細かなギザギザを設ける「セレーション」技術を展示した。これはプロペラ回転時に発生する風切り音を抑える技術であり、ドローンだけでなく、データセンターなどのサーバー空冷時に発生する騒音低減にも応用できるという。プロペラ自体の製造は難しくないが、独自性を出したり、プロペラの中心から先端の重量バランスを左右対称に高精度で出すことが難しい点だという。また、モーターやプロペラは中国製品が低価格で多く流通しており、価格で国産が優位に立つことは難しいと話した。

#Japan Drone 2026 記事