11月26日、27日の期間、大阪府にて「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」が開催された。同展示会では、ドローンの機体メーカーやサービサーが最新のソリューションを展示。その中で、ドローンショーの運営を担い、多くの運用実績を持つレッドクリフが、大阪・関西万博で実施した大規模ドローンショーの成果や取り組みを紹介した。
レッドクリフは大阪・関西万博において、準備期間を含む2025年3月17日から10月13日の期間、ほぼ毎晩ドローンショーを実施してきた。累計飛行数は14万194機に達し、「Most multirotors/drones launched in a year(一年間に飛行させたマルチローター/ドローンの最多数)」としてギネス世界新記録を樹立した。
なかでも象徴的だったのが大阪・関西万博の閉幕日に実施された演出だ。国内最多となる3,000機のドローンを用い、夜空に公式キャラクターである「ミャクミャク」を描写。さらに花火を組み合わせた演出で、万博最後の夜を華やかに締めくくった。
3,000機編隊の裏側にある設計と運用ノウハウ
関係者は当時を振り返り、「あのミャクミャクの演出は、デザイン決定から本番まで約1週間という短期間で準備しました」と話す。人気キャラクターを夜空でどのように表現すれば観客に伝わるかに重きを置いてドローンの配置を検討するだけでなく、花火演出を安全に組み込むため、点火のタイミングには細かな調整が求められたという。大規模な編隊飛行と演出を高い完成度で成立させるには、機体制御、通信、オペレーションのすべてが噛み合う必要がある。国内ドローンショー市場でナンバーワンのシェア(※1)を持つ同社だからこそ、実現できた演出だといえるだろう。
ブース内では、万博をはじめ各地で行われたドローンショーの写真や映像が紹介されており、あわせて実際にショーで使用される機体や、運用を支える車両・機材のモデル展示も行われていた。単なる演出紹介にとどまらず、「どうやってドローンショーが運営されているのか」を具体的にイメージできる構成となっていたのが印象的だ。
※1 ドローンショー売上シェア(富士キメラ総研「映像DX市場総調査2024」2023年実績)
日中開催を可能にする新演出「ドローンインパルス」
万博の余韻が残るなか、レッドクリフが次に打ち出しているのが、日中の空で行うドローンショー「ドローンインパルス」である。従来、夜間にLEDで表現することが前提だったドローンショーに対し、LEDの代わりにカラースモークを用いることで、昼間でも視認性の高い演出を可能にし、まさに航空自衛隊による曲技飛行隊「ブルーインパルス」のドローン版の実現を目指している。
このショーで使用されるのが、同社のマルチファンクション型のショー専用ドローン「RiFF-JP」だ。機体下部のユニットを交換することで、演出内容に応じた機能を柔軟に切り替えられる構造となっており、独自性の高い演出を実現できるという。その換装ユニットとして、スモークのほか、花火、LEDランタン、レーザー、カメラ、エアドロップが用意されている。商用としてはレッドクリフが国内で初めて導入し、10月31日から提供を開始している。
ドローンショーは当初、安全性や演出効果に対して懐疑的な声も少なくなかった。しかし万博での連日の実施により認知度は大きく向上し、「ドローンショーを見るために会場を訪れた」という来場者の声も多く聞かれるようになった。
花火と比べて運用の自由度が高く、システムによって演出バリエーションを増やせる点も評価され、国内では新規参入企業も増えつつある。今回の展示会でも、レッドクリフ以外のドローンショー関連企業の出展が多数見られた。夜間に加え、日中開催という新たな選択肢が広がることで、ドローンショーの活躍の場はさらに増えていくはずだ。今後、どのようなユニークな演出やビジネスモデルが登場するのか。レッドクリフの取り組みは、その未来を占う一つの指標となりそうだ。
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