経産省・国交省・自治体が連携、全国規模の産業フォーラム

 第4回ドローンサミットが2025年9月24日・25日の両日、愛知県の「ポートメッセなごや」で開催された。
 ドローンサミットは、ドローンの社会的受容性拡大と実装促進を目的に、経済産業省、国土交通省、そしてドローン活用を積極的に推進する自治体が共同主催する年次イベントである。第1回は2022年に兵庫県で開催され、その後、長崎県、北海道と続き、今回は4回目の開催となった。

 第4回となる名古屋には、ドローンの開発メーカーをはじめ、サービス・プロバイダー、部品サプライヤー、自治体や公的機関など、約135の団体が参加。展示や講演、屋内外での実演を通じて、全国から足を運ぶ来場者に向けてドローンの現状および将来像の理解を深める場となった。

写真:会場に展示されたエアロセンス社「エアロボウイング」
写真:会場に展示されたROBOTIX JAPAN社の「INSPECTER」
写真:会場に展示されたマゼックス社の「軽助55」
最新のドローンや構成部品、独自のサービスなど、多くのドローン関連の展示が行われた。

自動車・航空機産業の集積地で開催、技術企業も多数出展

 開催地である名古屋地域は、トヨタ自動車を中心とする自動車産業のほか、ボーイングなど航空機メーカーへ主要部品を供給する三菱重工業など、モビリティ関連の製造業が集積するエリアである。

 そのような背景もあり、自動車・航空機分野の技術を持つ関連企業10社も出展。また、自治体単位での参加を通じて中小メーカーも多数が新規参入を模索し、ドローンビジネスへの関心の高さを示した。

 会場内外には「デモフライト場」が設置され、2日間で20回以上のデモフライトが実施された。また、展示ブースでは新型ドローンや関連サービスが紹介され、機体開発から運用支援、点検、測量、物流まで幅広いソリューションが披露された。
 さらに、シンポジウムやステージイベントでは、業界の市場動向に加え、「イノベーション創出」「社会実装」「空飛ぶクルマの今後」「防災分野でのドローン活用」などをテーマとした講演や座談会が行われた。

経営者とドローンジャーナル編集長が語る!激論「成功するドローンビジネス」

写真:壇上で椅子に座る5人
トークイベント「激論『成功するドローンビジネス』」第一部に参加した(右から)OKUMA TECHの李社長、東北ドローンの桐生社長、ROBOZの石田社長、アトラックラボの伊豆社長、With World JPの伊藤氏。

 2日目の25日には、福島県および同県大熊町のドローン企業であるOKUMA TECHが共同企画したトークイベント「激論『成功するドローンビジネス』」が開催された。
 モデレーターを務めたのは、弊誌・ドローンジャーナル編集長の河野大助氏。実際にドローン事業に携わる経営者と福島県の担当者を招き、各社の事業戦略や現状から“事業継続の秘訣”を語り合う企画として注目を集めた。

 登壇者は、ドローンショーなどの演出を手がけるROBOZの石田社長、AI活用による課題解決に取り組むアトラックラボの伊豆社長、宮城県で操縦者育成や企業向けソリューションを展開する東北ドローンの桐生社長、OKUMA TECHの李社長、ドローン・エアモビリティ分野のコンサルタントWith World JPの伊藤氏の5名だ。

第一部「成功の裏側を教えてもらいます」

 第一部では、「成功の裏側を教えてもらいます」をテーマに登壇者らがそれぞれの経験を踏まえ、ドローン業界で事業を継続・拡大するための実践的な知見を共有した。
 議論の中で多く挙げられたのは、「新しい技術や仕組みに積極的なアーリーアダプター企業と連携すること」「研究開発費を確保できる企業が市場優位に立つ」「自治体と協働する際は包括連携協定を結ぶことが効果的」といった具体的な戦略である。また、運航ニーズの地域差については、「首都圏は資金面で有利だが、実運用のフィールドや需要は地方の方が豊富」との意見も多く出た。

 今後の展望としては、「ドローンショーや群制御技術を防災用途へ応用する」「現場の作業者を支援する実用的なソリューションを拡充する」といった方向性が語られた。

第二部、福島ロボットテストフィールドの取り組み紹介

 第二部では、福島県商工労働部次世代産業課の大須賀氏が登壇。
 福島県には、ロボットやドローンの開発・実証拠点「福島ロボットテストフィールド」が整備されており、県として企業支援や補助金制度を通じて実用化を後押ししていることを紹介した。これに対し、With World JPの伊藤氏は海外での経験を踏まえ、「海外企業を誘致し、国際的な技術交流の場として福島ロボットテストフィールドを発展させるべき」と提言した。

OKUMA TECH、水素燃料電池ドローンを展示

 イベントの企画を行ったOKUMA TECHは、2021年に福島県大熊町で設立されたベンチャー企業。代表取締役の李氏は、かつて楽天ドローンの南相馬市デリバリープロジェクトに参画しており、トヨタの燃料電池車「MIRAI」に搭載する水素循環システムの開発にも携わるなど、水素燃料技術にも深い知見を持つ。

 同社は今回、企業ブースを出展し、開発中の水素燃料電池ドローンおよび煙感知器点検用ドローンを展示した。水素燃料電池ドローンは実証実験において、最大40kgのペイロードを搭載し25分間の飛行を実現したという。そのほか、展示された煙感知器点検用ドローンは、工場や倉庫、ホールなど高所に設置された煙感知器を足場を組まずに点検できる機体で、「脱着用」と「加煙試験用」の2タイプを展開。試作機ではDJI製FPVドローン「Avata 2」をベースにしているが、今後は飛行ユニットも自社開発に切り替える計画だ。

展示されたOKUMA TECHの水素燃料電池ドローン。
写真:展示された2機のドローン
煙感知器点検用ドローン。右が「加煙試験用」、左が「脱着用」。

産業集積地から広がるドローン実装の新潮流

 今回のドローンサミットは、産業技術の集積地・名古屋を舞台に、メーカー・自治体・研究者が一堂に会して最新技術と社会実装の方向性を議論する場となった。展示・実証・議論の三位一体で構成されたこのイベントは、国産ドローンの産業化と社会定着に向けた実践的な一歩といえる。

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