写真:展示された「FAZER R G2」

 2025年9月24日から25日の期間、愛知県のポートメッセなごやで「第4回ドローンサミット」が開催された。ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」を展示した。同機は2025年9月12日付で国土交通省の第二種型式認証を取得している。

最大50kg搭載、長距離飛行にも対応

写真:展示された「FAZER R G2」
ドローンサミットで展示されたFAZER R G2。

 FAZER R G2(標準仕様)は、全長3665mm、全幅734mm、ローター直径3115mmで、最大積載重量は38kg。このほか、衛星通信機能を搭載し最大130kmの飛行が可能な「衛星通信仕様」や、ローターを3600mmに大型化して最大積載量を50kgまで拡張した「大型ローター仕様」といったバリエーションモデルをラインアップしている。

 同機はガソリンエンジンを動力とするため、電動ドローンに比べて航続距離と滞空時間に優れ、主に活用されている農薬散布だけでなく、物資輸送・災害対応・火山観測など、過酷な環境下での長時間運用が可能だ。

写真:日本地図に示された無人ヘリの活用実績
ヤマハの無人ヘリの活躍を示したパネル。

世界初の無人ヘリ開発から40年の実績

 ヤマハ発動機の無人ヘリ開発は1983年、農林水産省の外郭団体である「農林水産航空協会」からの委託による農薬散布試作機「RCASS」の開発に始まる。

 1987年には世界初の産業用無人ヘリ「R-50」を発売し、以降、農業分野を中心に普及を拡大してきた。2000年には北海道・有珠山の噴火時に自動航行無人ヘリ「RMAX」で火口観測を実施。2015年には太平洋上の西之島で「RMAX G1」を用いた接近映像撮影と火山石サンプル採取を行うなど、火山観測分野でも実績を重ねている。そして、2013年には高出力エンジンとオートクルーズ機能を備えた「FAZER」を発売し、離島での物資輸送にも活用されてきた。

最新機「FAZER R G2」で次世代運用を見据える

 FAZER R G2は、これまでの無人ヘリ開発で培った技術を継承しつつ、長距離飛行・高積載・高信頼性を実現した最新鋭モデルだ。

 ヤマハ発動機の担当者は次のように話す。
「FAZER R G2は、目視外飛行でこそ真価を発揮する機体です。第二種型式認証の取得により飛行申請手続きが簡便化され、今後はさまざまな分野のユーザーにとってより導入しやすい機種になると考えています」

 FAZERシリーズは、産業・災害・物流の多領域での実用化が期待されており、ヤマハ発動機は引き続き“実用的な無人航空機”としての進化を進めていく構えだ。

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