9月24日から25日の期間、「第4回ドローンサミット」が愛知県名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で開催された。エアロネクストはプロドローンと共同開発した新型物流ドローン「PD4B-M-AN」を初公開した。
同機は、エアロネクストの独自技術「4D GRAVITY」を搭載し、置き配に対応する仕様が特徴。物流現場の省人化と効率化を目指す新たな取り組みとして注目を集めた。
高安定飛行を実現する「4D GRAVITY」技術を搭載
エアロネクストは、ドローン物流でドローンに荷物を積載した際、飛行によるドローンの姿勢に関わらず、荷物を常に水平に保つ独自技術「4D GRAVITY」の特許を保有している。この技術は、ACSLから販売されている物流用ドローン「AirTruck」に採用されており、エアロネクストの子会社であるネクストデリバリーによって、山梨県小菅村で実装されたドローン物流で多くの実績を積んでいる。
今回、プロドローンとの共同開発として発表された「PD4B-M-AN」は、プロドローン製産業機「PD4B-M」に4D GRAVITYを採用した物流専用ドローンだ。これが、プロドローンへの4D GRAVITYライセンス提供第1号機となる。
置き配対応でラストワンマイルを効率化
機体寸法は用途により変動するが、展開時のモーター軸間距離は約1.3m。機体重量は約20kgで、最大3kgの貨物を搭載可能。最大飛行時間は30分(3kg搭載時)、最長飛行距離は20kmと、地域物流や中距離配送に適している。
現在、4D GRAVITYを搭載した主要モデルはACSLの「AirTruck」だ。同機のペイロードが5kgなのに対し、PD4B-M-ANは3kgとなっており、積載性能はダウンしている。それに代わり、機体の販売価格を大幅に削減することに成功した。
PD4B-M-ANは非対面での置き配を想定した設計を採用。機体下部に貨物コンテナを搭載し、コンテナはスライドして手前に引き出すことができ、上部から荷物を積載して飛行する。着陸後は下部から地面に荷物を自動で切り離す構造となっている。受け取り時に人の手を介さず、完全非対面で配送を完結できるため、ラストワンマイルにおける省人化と効率化が期待されている。
愛知県新城市での実証へ、次世代物流モデルを検証
2025年10月頃、愛知県新城市にて「ドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査」として同機の運用が計画されている。事業主体は愛知県で、エアロネクストの子会社であるネクストデリバリーが統括する。セイノーホールディングスや新城市と連携し、地域特性に応じてトラック配送とドローン配送を組み合わせる「新スマート物流」の実証を進める。
特に、PD4B-M-ANでは、置き配機能による荷受け作業の負担軽減効果を重点的に検証する予定だという。ドローン物流の社会実装を加速させるうえで、重要なステップとなる見込みだ。
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