コアは2024年6月5日~7日に幕張メッセで開催された「第9回 Japan Drone 2024」に出展。アンチGNSSスプーフィングの実証実験開発機「ChronoSky PF2-AE」や、日本版GPS「みちびき」に対応したドローンソリューションなどを展示した。

アンチGNSSスプーフィング技術を用いた実証実験

写真:展示された「ChronoSky PF2-AE」
アンチGNSSスプーフィング対応の「ChronoSky PF2-AE」

 同社は、内閣府「2023年度みちびきを利用した実証事業」に採択され、準天頂衛星システムみちびきの信号認証サービスに対応したアンチGNSSスプーフィングの実証実験をACSLおよび楽天グループと共同実施した。

 ドローン運用の効率化や安全性向上のため、自動運転や自律飛行技術が進展している。ドローンが位置を取得する際には衛星測位システム(GNSS)を利用するが、この受信機の位置を狂わせて違うルートに誘導したり、落下させたりするGNSSスプーフィング(なりすまし)が新たな脅威となっている。これは、ロシアのウクライナ侵攻でも使われている技術だ。

 コアは、GNSSスプーフィング対策を施した受信機「Cohac∞ Ten++」をACSL製ドローン「PF2-AE Delivery」に搭載。実証においては、ドローン配送サービスの実績を持つ楽天グループと協力し、埼玉県秩父市大滝地域でGNSSスプーフィング環境を作り出し、このドローンを使用して救援物資の配送実験を行った。実験では、みちびきの信号認証を得てGNSSスプーフィングを検知・遮断・通知する機能が確認された。

写真:展示された「Cohac∞ Ten++」
みちびきの信号認証に対応するGNSS受信機「Cohac∞ Ten++」

 担当者は「国内でのドローン運用に関し、一部の海外製ドローンを排除するような動きも見られます。そのようなことから、国産ドローンやドローン運用のセキュリティに関心のある人から注目を集めています」とコメントした。

 このほかコアでは、みちびきに対応したドローンとAIを組み合わせて、点検や測量などの効率化を実現するサービス「ChronoSky」を展示。これは、ドローンで取得したデータを一元化するもので、目視での確認・点検がしづらい箇所の撮影・飛行計画を3D地図・仮想空間で確認しながら作成できる。みちびきに対応することで、インターネットのない場所でも位置情報の取得と精密なドローン飛行が可能となる。また、施設のデータ画像や動画、テキスト、3次元データ、循環ルートなどを一括管理でき、周辺地図から目的の情報をすぐに取り出せるサービス「ChronoSky 3D」も展示。撮影時期による経年変化の確認や、点検前の準備にも活用できる。

 サービスについて担当者は「橋梁や砂防の点検や測量などでドローンを飛行させる際、建物の高さや地形など、周辺の情報を得られないとルート作成が困難となります。予備飛行によって3Dデータを取得し、シミュレーション感覚で飛行計画を支援するものです」と説明した。

 さらに、インフラ点検向け高精度位置ARサービスも展示していた。これは、ドローン運用とは関係なく、地面に埋まって見えない埋設管やマンホール、植生に隠れたものなどをARで表示する技術。ヘッドセットやタブレットを使って確認することができる。担当者は「ドローンをまだ本格的に運用していない方が、簡単に使えそうなサービスを求めてお越しいただいています」と語った。

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