6月9日、DJIの中国本社を見学するメディア向けツアーが開催された。高さ200mに及ぶDJI本社は、DJI製品が揃うストアをはじめ、オフィス、カメラやドローンの開発拠点として整えられ、約6000人の従業員が日々働いている。今回のツアーでは、一般向けに公開されているブランドショップのほか、関係者以外立ち入り禁止となっている開発フロアを見学した。

 また、同ツアーに合わせてジンバルカメラの新製品である「DJI Osmo Pocket 4P」がメディア向けに公開され、正式発表前に実機体験できたので紹介する。

世界シェア1位のドローンが生み出される開発拠点「DJI Sky City」

写真:DJI本社

 中国・深圳市に構えるDJI本社は「DJI Sky City」と呼ばれ、2022年に開設された。44階と40階建てのツインタワーで構成され、深圳市のランドマークとしても知られている。中でも、地上105mに設けられた2つのタワーを結ぶスカイブリッジが特徴的であり、DJIはDJI Sky Cityを建築構造物ではなく、ひとつの自社製品としてデザインしたという。

 2006年創業のDJIは、空撮用ドローンの開発から始まり、ドローンの世界シェア1位を獲得し続けている。日本においてもコンシューマー向けからエンタープライズ向けまで幅広く支持され、ドローンメーカーの代名詞ともいえる存在だ。

 DJIのドローンが支持される理由には、高精度な飛行制御やユーザビリティに優れたソフトウェアが挙げられるが、なかでも新製品が発売される度に進化するカメラ及びジンバルの性能には定評がある。DJIは近年、このドローンのカメラ及びジンバルの技術を活かしたポケットジンバルカメラの分野でもシェアを拡大している。今年発売した「DJI Osmo Pocket 4」が人気を博し、ポケットジンバルカメラがDJIの市場構成の38%を占めるまでに成長しているという。

写真:DJI本社のエントランス

 最初に訪れた天井の高いガラス張りのエントランスでは、樹齢100年の黒松からなる枯山水が従業員を出迎えている。“巨大構造物のオフィス”という無機質な空間から印象を変えるため、植栽の生命を感じられる場所として枯山水が整備されたという。なお、枯山水に埋め込まれた装置から定期的に水蒸気を出して黒松を維持している点も最新のテクノロジー企業らしさが伺える。

写真:さまざまな植物が植えられたスカイガーデン
写真:スカイガーデンからの眺望

 次に向かったのは18階にあるスカイガーデンだ。多くの植栽で庭園のように整えられたスペースとなっており、深圳のビル群を一望できる。従業員の休憩や気分転換に使用されているスペースだ。

写真:スカイブリッジを渡る人々
写真:地上からスカイブリッジを見上げた様子

 続いて、24階にあるDJI Sky Cityの特徴のひとつであるスカイブリッジを渡る。天井の無い解放感のある90mの吊り橋は、マーケティングやセールスのオフィスからなるT1と、製品の開発拠点となるT2のタワー間の連絡通路となっている。

写真:スカイブリッジを渡る人々

 解放的な高所であることから、外観では渡るのに勇気がいるものだろうと思ったが、実際に渡ってみると高所であることよりも周囲の景観に目が行き、それほど怖さは感じなかった。深圳市にはガラス張りの高層ビルが多いが、日本とは違って地震が発生しないことからこのような景観が実現したという。

ここでしか手に入らない限定商品も並ぶブランドショップ

写真:ブランドショップの外観
写真:ブランドショップ店内の様子

 T1見学の最後には、エントランスと同じフロアに設けられた一般の人も利用できるブランドショップに立ち寄った。店内はお洒落な休憩スペースに加え、様々なDJIグッズが並ぶ。

写真:DJI Air 3Sをはじめ店内で販売されているドローン

 現行のドローン製品のラインナップのほか、手持ちジンバルのDJI RONINシリーズ、ロボット掃除機のDJI ROMOなどが取り揃えられている。

写真:DJIのオリジナルキャラクターグッズ
写真:バックパック類
写真:Tシャツ売場の様子

 また、日本では見たことのないオリジナルキャラクターのグッズや、利便性の高いバックパック類なども扱っていた。中でも人気だったのが、当店限定デザインもあるTシャツだ。DJIのロゴやドローンをあしらったもの以外にも、DJI Sky Cityやシンプルな英語のデザイン、可愛らしいキャラクターなど多くの種類が販売されていた。

 その後、製品の開発拠点であるT2も見学したが、こちらの内容は企業秘密となっており、メディアのみに明かされた。

ドローンを街中で飛ばせるDJIフラッグシップストアに驚き

 次に訪問したのがDJIフラッグシップストアだ。

写真:DJIフラッグシップストアの外観
写真:DJIフラッグシップストア店内の様子
写真:店内に展示されたドローン

 1階には、すべてのDJI製品が取り揃えられている。産業向けの大型ドローンからジンバルなどの撮影用機材、さらにはDJIの礎となるPhantomシリーズ等をはじめとする過去の製品が展示されていた。

写真:展示された風景写真
写真:展示された歴代のカメラ

 そして2階は、カメラメーカーであるハッセルブラッドの展示コーナーとなっている。ハッセルブラッドのカメラで撮影した作品から、歴代のカメラコレクションを展示。中にはアポロ11号の月面着陸時に持ち込まれ、人類初となる月面着陸の様子を記録したカメラまで展示されている。

写真:屋外の操縦体験エリア

 さらに、2階から屋外に出るとドローンの操縦体験エリアがある。とはいっても目の前は車の通りが激しい道路だ。DJIフラッグシップストアでは、誰もがこの場でドローンの操縦を体験することができる。もちろん、ドローンに初めて触る人でも問題ない。

写真:遠くを飛行するドローン

 スタッフのレクチャーを受けてドローンを自由に飛行させることができ、飛ばせるエリアもかなり広い。万が一、墜落したらどうなるのか?と気にかけながらもメディア関係者は操縦体験を行い、初めてドローンに触れる人はドローンの飛行性能やカメラの精度の高さに驚きを隠せない様子だった。

「DJI Osmo Pocket 4P」を先行実機体験、デュアルレンズ搭載へ

写真:展示されたOsmo Pocket 4P

 メディアツアーでは、正式発表前となるDJI Osmo Pocket 4Pが公開された。4月に発売されたDJI OSMO Pocket 4のプロ版であり、最も大きな違いはDJI OSMO Pocket 4がシングルレンズだったのに対し、DJI Osmo Pocket 4Pはデュアルレンズを搭載したことだ。

写真:Osmo Pocket 4Pの正面

 上側のレンズはポートレートに最適な中望遠レンズ。そして、下側には広角レンズを搭載。さらに、広角レンズ側には「1-INCH」と表記され、新開発の1インチCMOSセンサーが採用されていると考えられる。

写真:Osmo Pocket 4Pの背面

 ボタンの配置やディスプレイはDJI OSMO Pocket 4と同様で、使い勝手に大きな差はない。+ボタンを押せばワンタッチでスムーズに倍率を変えることができる。

写真:展示されたOsmo Pocket 4P

 DJI OSMO Pocket 4では、カラーバリエーションはブラックのみであったが、DJI Osmo Pocket 4Pは新たにホワイトが追加されていた。

 実際にプライベートでテーマパークでも使用してみたが、広角で景観を撮影するのに最適だった。1インチCMOSセンサーに加え、新たに搭載された17ストップのダイナミックレンジによって逆光や低照度での撮影が鮮明でより美しくなっており、夜間の撮影も綺麗で鮮明だ。DJI Osmo Pocket 4Pには、DJI OSMO Pocket 4同様に補助ライトの装着も可能なため、夜間の人物撮影などにも向いている。撮影機能としてアクティブトラック(顔認証によるトラッキング)も備えており、手で持っているだけで画角から人物を外すことなく非常に役立った。

写真:白い花

 望遠によるポートレート撮影もかなり鮮明に撮れ、望遠による背景のぼかしも可能。動画撮影中では、例えば景観から手前の被写体にピントが合うと、自動的に背景をぼかしてくれるなど、よりシネマティックな撮影表現が可能になった。

 深圳市では、科学技術博物館を含む複合文化施設である「Shenzhen Bay Culture Park」にも立ち寄り、DJI Osmo Pocket 4Pで動画を撮影。手持ちで録画しながら歩くだけでしっかりと記録できていた。

 DJI OSMO Pocket 4の価格は、スタンダードコンボが7万9200円。DJI Osmo Pocket 4Pは正式発表前のため、価格は公表されていない。DJI OSMO Pocket 4は、現在YouTubeなどで人気となっているVLOGの撮影用として使い勝手の良い機材となっていた。また、ドローンの空撮と組み合わせ、地上の映像を撮るのにも非常に有効な選択肢といえる。