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 令和7年12月12日の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーII飛行)」(以下、要領)改正により、これまで運用されていた「ホームページ掲載無人航空機」(以下、ホームページ掲載機)制度及び民間技能証明(以下、民間資格)による申請の資料の一部省略に関する運用が廃止されるなど、大きな方針転換が実施された。この改正は、今後のドローン申請業務において、「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」(以下、様式2)」及び「無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書」(以下、様式3)」の作成に直接的な影響を与える。本記事では、これらの変更点を踏まえた改正の概要について詳しく解説する。

なぜホームページ掲載機制度は廃止されたのか

改正前の仕組みと課題

 これまで国土交通省は、飛行実績のある一定の機体をホームページ掲載機としてリスト化し、該当する機体については申請資料の一部省略を認めていた。この制度は、申請手続きの簡素化を目的として導入されていたが、以下のような課題が浮き彫りとなっていた。

  • ホームページ掲載機を用いた申請の場合は改造の有無を申告する必要があり、どこまでの変更が「改造」に該当するかを申請者が判断することが困難であった
  • ホームページ掲載機で改造有りの場合、様式2の確認事項の記載が必要となるが、その内容が煩雑で申請者の大きな負担となっていた
  • 市場に流通するドローンが爆発的に増加しており、航空局がこれらを全て把握しリストを更新し続けることが事実上困難となっていた

新制度への移行―認証機制度への一本化

 今回の改正により、ホームページ掲載機に関する記載が要領から全て削除された。これにより、機体の区分は以下3つに整理され、それぞれの区分に応じて様式2の記載要件が明確化された。

機体の区分様式2の記載
機体認証機使用条件等指定書の範囲内である場合、様式2の確認事項の記載を省略することができる
型式認証機無人航空機規程の範囲内である場合、様式2の確認事項の記載を省略することができる
その他の機体確認事項を含む様式2の全ての記載が必要となる

民間技能証明による優遇措置の終了が意味するもの

これまでの民間技能認証の役割

 無人航空機操縦者技能証明(以下、国家資格)の制度が始まる以前は、民間の講習団体がドローン操縦者の育成を担ってきた。航空局は一定の基準を満たす団体をホームページに掲載し、それらの団体が発行する民間資格については、申請時の資料添付省略を認める優遇措置を講じていた。

民間資格の優遇措置廃止

 今回の改正では、民間資格に関する記載が要領から全て削除された。要領2–2–1(6)における変更点は以下のとおりである。これにより、今後は民間資格を持っていても申請上の優遇は一切なくなり、国家資格を持たない一般の申請者と同様の取り扱いとなる。

 これは、民間資格から国家資格への移行を強力に推進するという国の明確な意思表示と言える。

改正前改正後
無人航空機を飛行させる者の能力等に関する基準を制定している団体等による講習会等を受講し、技能認証を受けている場合には、当該認証を証する書類の写しを添付すること。なお、航空局ホームページに掲載されている団体等が技能認証を行う場合は、当該認証を証する書類の写しを添付することで、様式3の添付及び技能認証の内容に応じて、5. に掲げる基準への適合性についての資料の添付を省略できる。(削除)

国家資格保持者への優遇措置

 一方で国家資格保持者に対する優遇措置については、内容の明確化及び優遇措置の拡充がなされている。要領2–2–1(6)における変更点は以下のとおりである(太字部分は記載の変更箇所)。国家資格保持者は、これまで以上にスムーズに申請を行うことが可能となる。

改正前改正後
これまでに無人航空機を飛行させる者が無人航空機操縦者技能証明を有している場合は、技能証明書番号、区分、限定事項(種類、飛行の方法)を記載することで、様式3の添付及び技能証明の内容に応じて、5. に掲げる基準への適合性についての資料の添付を省略できる。この場合、申請を行う飛行の形態が区分及び限定事項の範囲内であることを確認すること。これまでに無人航空機を飛行させる者が無人航空機操縦者技能証明を有している場合は、技能証明書番号、区分、限定事項(種類、飛行の方法)を記載することで、様式3の添付及び確認事項(飛行経歴、知識、能力)の記載を省略できる。この場合、申請を行う飛行の形態が区分及び限定事項の範囲内であることを確認すること。
様式3に加え、無人航空機を飛行させる者の5. に掲げる基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を参照することにより申請者の責任において基準への適合状況を自ら確認した確認結果を記載した資料を作成し、申請書に添付すること。様式3に加え、5. に掲げる基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を参照することにより申請者の責任において基準への適合状況を自ら確認した確認結果を記載した資料を作成し、申請書に添付すること。ただし、様式3に技能証明書番号、区分、限定事項(種類、飛行の方法)を記載した者については、申請を行う飛行の形態が技能証明の区分及び限定事項の範囲内である場合、当該資料の作成及び添付を省略できる。

 今回の要領改正は、ドローンの飛行許可・承認制度を「より明確に、より安全に」進化させる重要なステップである。ホームページ掲載機や民間資格といった過渡期の複雑な概念を廃止し、型式認証・機体認証及び国家資格制度への一本化方針が明確に示されている。

 一見すると手続きが厳格化されたように見えるが、国家資格を取得し、型式認証・機体認証を受けたドローンを利用する事業者にとっては、むしろ申請業務の負担が軽減される内容となっている。ドローンビジネスの健全な発展のために、国家資格や型式認証・機体認証の重要性がますます高まっていると言えるであろう。

 なお、今後の新規申請や更新申請には改正後の要領が適用される。これから申請を行う事業者は、改正内容を十分に理解した上で、国家資格の取得や使用機体の見直しを実施することをお勧めする。

参考:

  • 国土交通省航空局「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」令和7年3月19日最終改正(国空無機第100036号)
  • 国土交通省航空局「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」令和7年12月12日最終改正(国空無機第302812号)