2025年12月16日、ROBO-HI(以下、ロボハイ)は、自律走行警備ロボ「PATORO(パトロ)」について、クマなどの野生動物対策に特化した機能を強化すると発表した。

 固定式忌避装置の課題である動物の慣れ(馴化)に対し、自律移動ロボの不規則な動きと音、光を組み合わせることで、人と動物との棲み分けを支援する。

 これまで導入されてきたLEDライトや超音波、爆音機などの設置型対策機器は、場所が変わらず刺激が一定であり、時間が経つと危険がないと認識され、野生動物が慣れてしまうことが課題があった。PATOROの機動性により、場所を特定させず、刺激パターンを読ませないことで馴化問題の解決を図る。

イラスト:田園風景の中を走る4機の「PATORO」
自律走行警備ロボ「PATORO」のクマ対策ソリューションイメージ
写真:4つの車輪を備えた「PATORO」
自律走行警備ロボ「PATORO」

 野生動物は、静止している物体よりも動いている物体を脅威として認識しやすいことから、エリア内を自律的に動き回ることで生体感を演出する。PATOROは、ロボットデリバリー協会の安全基準適合審査に合格しており、地域の警察への届け出のみで公道走行が可能。私有地を含めて地域の生活圏を広く巡回できる。

 搭載したAIスピーカーから、オオカミの遠吠えや人間の会話音声、破裂音などをランダムに再生可能。移動しながら発音することで方向性が生まれ、クマの警戒心を刺激し、接近を防ぐ効果が期待できる。

 回転灯(パトランプ)を作動させながら走行が可能。暗闇で光源が移動し、光の当たり方が変化することで、動物に違和感と警戒心を与える。

 毎回不規則なルートで巡回したり、音の種類や音量、発音のタイミング、回転灯のパターンをAIがランダムに制御したりするなど、自律移動による生体感、AIスピーカーによる音の移動、回転灯による視覚的な威嚇をランダムに組み合わせることで、野生動物の学習・予測を困難にし、長期的な忌避効果の維持を目指す。

 ロボハイは今後、自治体等と連携し、実証実験や導入エリアを拡大するとしている。