2026年6月26日、Liberaware(以下、リベラウェア)は、福岡県福岡市において、下水道の維持管理での「No Entry(人が下水道管路内に立ち入らない点検・調査)」の実現に向けた、小型ドローンによる実環境での技術検証を実施したと発表した。
2025年1月に発生した埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、下水道管路の全国特別重点調査が全国で実施された。その結果、対策が必要な下水管は全国で計748km(※1)に上ることが明らかになった。口径2000mm以下の管路においても、今後さらなる調査・維持管理需要の増加が予想され、作業員の安全確保や点検の効率化が重要課題となっている。
※1 国土交通省:下水道管路の全国特別重点調査の結果(https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000731.html)
現在の下水道管路点検では、作業員の管内への立ち入りを回避するNo Entryが強く求められており、その実現に向けた点検技術の確立が期待されている。
今回の検証は、下水道応用研究の一環として開発を進めている次世代要素技術の有効性を確認することを目的に実環境(雨水管)で行った。環境開発、福岡市の協力のもと、開発中の距離測定機能と損傷計測技術を搭載したドローンによるフィールドテストを実施し、以下の2点を主軸に評価を行った。
- 距離測定技術の精度検証
非GPS環境下の管路における、実測値との比較による測距精度の評価。 - 損傷検知および計測機能の有効性検証
ドローン映像に基づく損傷箇所(クラック等)の網羅的な抽出、および非接触での寸法計測精度の評価。
検証の結果、路線終点まで遅滞なく到達し、管路内部の詳細な状況把握に成功した。損傷計測では、実際の損傷の大きさに対する誤差を約5%に抑えながら、最小2mm幅まで捉えることができた。また、テレビカメラ調査で指摘されていた損傷箇所を網羅的に認識し、点検時間の短縮についても高い有効性を確認した。
距離測定でも実務活用に向けた一定の有効性を確認しており、従来手法と比較しても一定の効果を得られたことから、作業員の進入に伴うリスクを最小化するNo Entryの実現に向けた足掛かりとなった。
この技術は、対策が必要な下水管に対する持続可能な維持管理、および広大な管路空間の効率的なスクリーニング調査に寄与することが期待される。
リベラウェアは今後、全国特別重点調査の対象箇所よりもさらに小さい口径2000mm以下の管路を含む広範な条件下での検証を継続し、適用範囲の拡大と精度向上を図る。あわせて、作業員の管内立ち入りを前提としない効率的な運用モデルを構築し、段階的にNo Entry型点検への移行を促進するとしている。
