2026年4月10日、NTT、NTT東日本、大成建設は、施工のオートメーション化のさらなる高度化を目的に、IOWN APNとローカル5Gおよび60GHz帯無線LAN(WiGig)(※1)を活用した環境を構築し、大成建設の接続切替システムにより、離れた拠点から複数重機を1台の操作卓で遠隔操作・自動制御する実証に成功したと発表した。複数重機が稼働する工事現場への導入を推進することで、生産性の向上や技能者不足への対応が可能となる。

 建設業界では技能者不足や長時間労働などが深刻化しており、自動施工、遠隔施工、施工データの活用による施工のオートメーション化が推進されている。一方で、重機の遠隔操作・自動制御の高度化には、低遅延・低ジッタ通信によるリアルタイムな操作性や遠近感の把握が求められる。工事現場内を移動する重機は、ラストワンマイルの無線接続を必要とするが、自動制御の重機やロボットが広い現場全体で安定稼働するためには、複数アングルからの高精細な映像を伝送するための帯域を広域でカバーするなど、無線環境の構築も課題である。

※1 Wireless Gigabitの略。IEEE 802.11ad規格をベースとした60GHz帯を用いる無線LAN規格。

実験の概要

 2026年2月2日から2月27日までの期間、遠隔操作・自動制御システムと接続切替システムを設置した遠隔操作拠点と、3台の重機を配置した実証現場の2拠点間をIOWN APNで接続した。さらに実証現場の無線環境は、300m程の広域を大容量通信でカバーする自動制御用の無線ネットワークをローカル5Gで構築し、複数のカメラ映像や制御信号の低ジッタ伝送を行う遠隔操作用の無線ネットワークをWiGigで構築した。

 この環境で、油圧ショベルによる土砂の掘削・積込、クローラー型ダンプトラックでの運搬、ブルドーザーでの敷均し(しきならし)という一連の工程を、全て遠隔操作および自動制御で実施可能なことを確認した。また重機の長距離移動も安定的に遠隔操作が可能なことを実証した。

3台の重機の遠隔操作および自動制御の概要図
IOWN APN、ローカル5G、WiGigを活用した3台の重機の遠隔操作および自動制御

IOWN APNによる複数重機を連携させた施工のオートメーション化

 低遅延・遅延ゆらぎなしの特長を持つIOWN APNと、大成建設の接続切替システムを活用し、通常は3人で実施する複数重機での作業を、1人で遠隔操作・自動制御できることを確認した。オペレーターの遠隔操作をサポートするMC(マシンコントロール)(※2)とMG(マシンガイダンス)(※3)機能についても、従来の同一敷地内での利用と同等の精度で利用可能なことを実証した。またMC・MGに使用する設計データの作成では、ドローン空撮で取得した大容量の現況地盤データの授受にIOWN APNを活用して伝送時間を従来の約1/8に短縮し、オフィスでの三次元設計データの作成から現場反映までを効率化し、生産性向上につながることを確認した。

※2 重機の位置情報、および施工箇所の設計データと作業装置の位置との差分に基づき、動作を自動または半自動で制御するシステム。
※3 重機の位置情報、および施工箇所の設計データと作業装置の位置との差分をオペレーターに提示することで施工を支援するシステム。

ローカル5GとWiGigを活用した長距離移動や旋回を伴う重機の遠隔操作・自動制御

 300m程度の実証現場全体を大容量な無線ネットワークでカバーする環境をローカル5Gで実現し、GNSS信号に基づく重機の位置情報を遠隔拠点に伝送しながら、現場全体で通信が途切れることなく重機の制御が可能なことを確認した。

 特定エリアにおける重機の遠隔操作では、カメラ映像や制御信号の低遅延・低ジッタ伝送を実現する無線ネットワークとして、NTTアクセスサービスシステム研究所のサイトダイバーシティ技術(※4)が搭載されたWiGig機器を活用することにより、有線区間含めたネットワーク区間のエンドツーエンドで遅延は数ミリ秒程度、ジッタは数十マイクロ秒程度を確保して、従来よりもリアルタイムな映像伝送を行いながら、重機の移動や旋回を実現できることを確認した。また、WiGigでLAN区間を代替することで、詰所と現場の無線ネットワーク構築に従来は終日を要していたところ、約1時間で効率的に構築できることも確認した。

※4 無線端末内に複数の無線機能部を装備する端末主導の切替制御技術。

【各社の役割】

NTTIOWN APNとWiGigを組み合わせた遠隔操作および自動制御への適用検討
NTT東日本ローカル5Gの設計・構築・運用
大成建設遠隔操作および自動制御システムの技術提供、工事現場での適用検討


 実証の成果を踏まえ、2026年度に大型造成工事などの現場での実証を予定しており、2027年度には大成建設が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期で取り組んでいるダムの堆砂対策における遠隔操作・自動制御への適用を目指す方針だ。

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