JISDA(Japan Integrated Security Design Agency:日本技術安全保障戦略機構)は、2026年3月、防衛・技術安全保障の観点から、無人機・ロボティクス、AI等の無人アセットの研究開発・製造・運用・後方支援を横断的に推進するコンソーシアム「RISE(Resilient Initiative for Unmanned Systems Engineering)」を設立した。

 日本を主体に各国の企業や自治体、大学・研究機関、シンクタンク等が参画する産学官横断の枠組みであり、すでに10以上の主体が参画している。

RISEのロゴ

 国際情勢の不確実性が高まる中、抑止力およびその信頼性の向上が重要となっている。グレーゾーン事態から有事に至るまで継続的に対応できる防衛生産・技術基盤の整備が求められている。

 その中核となる無人アセットは、比較的低コストで損耗を前提とした運用が可能なプラットフォームとして、世界的に需要が拡大している。日本でも無人アセットの調達は進みつつあるが、現状では海外製品の取得・備蓄に偏り、国産の導入・定着は進んでいない。柔軟で即応性のある国内の開発・製造基盤が抑止力となる時代において、調達やストックの確保だけでは十分な信頼性を担保しにくい局面にある。

 加えて、日本のものづくりは世界水準の要素技術を数多く有する一方、自前主義や縦割り構造により技術同士の接続や仕様のすり合わせが後回しになり、運用に最適化されたシステムとして統合されにくいという課題があった。さらに安全保障領域では、技術と運用の対話が不足し、ニーズに即したアジャイル開発が難しい場面もあった。

 RISEは、産学官を横断的に結節する「共同開発・制度設計の基盤」として、ハードとソフト、技術と運用、現場と政策をつなぎ、日本の無人アセット産業を次世代の安全保障環境に対応したエコシステムへ再構築することを目的としている。研究開発から製造、運用・整備、サプライチェーンを含むあらゆる製品のライフサイクルを視野に、国内で継続的な改善が続けられる枠組みを整備する。

【主な取り組み】

  • 要素技術から統合システムまで、役割分担と統合を前提とした共同研究開発
  • 技術動向・運用動向・制度動向を整理し、意思決定の質を向上するインテリジェンス共有
  • 使い方から逆算して設計・実証につなげる運用構想やドクトリンの議論
  • 標準化・相互運用性確保の推進
  • 国際競争力を高めるルール形成への貢献

【技術戦略目標】

  • 運用に即して組み換え可能なモジュラー無人アセット群の開発
  • 国内におけるコスト効率が高く柔軟なスマート分散型製造能力の獲得
  • プラットフォーム間を横断する高度な群制御能力の獲得
  • AI活用による無人機訓練・教育の効率化
  • 開発・製造インフラを強靭化するサイバー防御能力および組織面での安全性を確保するソリューションの実装

【参画対象】

  • イノベーティブな技術を有するスタートアップ、大学研究室・研究機関
  • 設計・量産・品質保証・部材供給等の開発・製造能力を有する企業
  • 標準化・制度・政策の観点からルール形成に資するシンクタンク等

JISDA代表取締役 國井翔太氏のコメント

 日本は「技術で勝って、ビジネスで負ける」と言われてきました。我が国には優れた技術があるにもかかわらず、それをどのように束ね、世界の中でどのような位置を取りにいくのかという戦略が十分でなかった局面があったと認識しています。とりわけ安全保障領域では、想定される運用に即した技術開発が進みにくく、アカデミアやスタートアップとのデュアルユースの議論も停滞してきました。

 安全保障上のリスクが高まる今、我が国の技術安全保障には構造的な改革が必要です。これからはRISEコンソーシアムのような連携の枠組みが多く出来上がり、新しい競争環境になっていくでしょう。無人アセットはその起点になり得る領域です。我々はRISEを通じて、技術と運用、現場と政策、そして国内外の知見を接続し、日本発で次世代の安全保障スタンダード形成に資する取り組みを進めてまいります。