2026年3月3日、オムロンはタカハシと共同で、2025年10月から12月に実施した店舗運営DXの概念実証において、AIとロボットによる陳列量の可視化・最適化の有効性を確認したことを発表した。
このプロジェクトでは、これまで目視で行っていた陳列棚の状況や欠品確認を、人手を介さず画像として収集し、本部で定めた陳列量基準に基づきAIが未充足棚を検知して補充を陳列担当者に促す仕組みを検証した。推定陳列量の精度向上と棚充足の改善を通じて、顧客体験の向上と一定の売上改善、業務負荷の低減やその結果の従業員エンゲージメントの向上につながる傾向を確認した。
少子高齢化による労働人口の減少により小売業の人手不足は深刻化しており、店舗運営の省人化が強く求められている。陳列状況を把握できていないケースも多く、本部と店舗の情報連携が遅れ、対策が後手に回るという課題があった。限られた人員で高い生産性と顧客体験を両立する店舗運営モデルの確立を目指し、今回のプロジェクトを実施した。
検証結果
プロジェクトでは、店舗運営の省力化、販売機会損失の防止、顧客体験の向上の3つの観点で実店舗検証を行い、AIと自走巡回ロボットによる陳列量の可視化・最適化の有効性を確認した。とくに、対象とした一部商品のカテゴリーで売上が最大53%伸長する傾向が見られるなど、効果を示唆する結果を得た。
- 店舗運営の省力化
自走巡回ロボットとAIで棚の状態を日次レポート化し、補充の優先度がひと目で把握できるように改善した。これにより、目視巡回の一部を置き換え、無駄な往復や探索時間が減少。実施期間の終盤にはまとめて補充できる場面が増え、品出しの段取りとスピードが向上する傾向を確認した。 - 販売機会損失の防止による売上向上
棚の充足状況を可視化し、不足棚から優先的に補充した結果、一部商品カテゴリーで売上が最大53%伸びる傾向が見られた。欠品・補充遅れの早期発見と対応が回ることで、販売機会の取り逃し低減に寄与する可能性がある。 - 顧客体験の向上と従業員エンゲージメントへの寄与
棚の充足度が向上することで、たくさんの商品の中から欲しいものを見つけ出す楽しさを提供する店舗づくりが進展した。あわせて、ロボットをきっかけに現場の会話が増えるなどコミュニケーションが活性化。楽しさや話題性が仕事の変化につながり、職場満足度やエンゲージメント向上に寄与する傾向を確認した。
オムロンは今後、プロジェクトを通じて得た技術的・運用的な知見をもとに、店舗運営DXの実装を見据えたソリューション開発に引き続き取り組み、現場で定着するサービスの提供を目指すとしている。
また、このプロジェクトの取り組みを一つのモデルケースとして、同様の課題を持つ小売業をはじめとする企業向けに、AIやロボットを活用したソリューションを展開していく方針だ。
