2026年1月13日、VlightupとAerospace Designは、防衛および重要インフラ向け無人航空機(以下、UAV)における、AI脅威に対抗可能な次世代セキュリティアーキテクチャの構築を目指し、共同研究を開始したことを発表した。

 この提携は、Vlightupの高度な暗号・認証技術を国家レベルのインフラ防衛基盤に活用する戦略的取り組みの第一弾となる。

AI時代の脅威に対抗する防衛用無人航空機に係る「ソブリン・セキュリティ・アーキテクチャ」要素技術の共同研究を開始、VlightupとAerospace Designのロゴ、”Spoof-Proof“ なりすましは、通用しない。

 サイバー攻撃の自動化・高度化が進み、特にAIを用いた正規端末の乗っ取りやディープフェイクによるデータ改ざん、GNSSスプーフィング(位置情報偽装)が、防衛・重要インフラの脅威となっている。従来のパスワードや暗号鍵といったデジタル情報に依存するセキュリティは、AIによって容易に突破・複製されるリスクがあり、データの真正性(Authenticity)を担保することが困難になっている。

 また、経済安全保障の観点から、ドローンを含む特定重要物資のサプライチェーンを国産技術で完結させ、海外プラットフォームに依存しない自律的な防衛基盤を確立することが求められている。

 この研究では、誘導弾・飛しょう体や月着陸船などの極限環境設計に強みを持つAerospace Designの高性能機体開発能力と、Vlightupが保有する「Proof of HereNow(PoHN:今ここに在ることの証明)」技術を融合させる。サイバー空間の攻撃に対し、物理空間の事実(位置・時刻)を対抗手段として用いることで物理的防壁をドローンに実装する。

  • 「みちびき」信号認証によるPoHN
     Aerospace Designが設計するUAVの制御システムに、Vlightupのセキュリティモジュール(TEE)を統合する。日本の準天頂衛星システム「みちびき」の信号認証サービスを活用し、機体が受信する位置情報の正当性をハードウェアレベルで検証。AIによるスプーフィング攻撃を無効化するとともに、撮影データに対し改ざん不可能な「位置・時刻」の電子署名を付与することで、情報の出所を数学的に証明する。
  • GeoMPCによる「指揮権の物理的防護」
     Vlightupの「GeoMPC(位置情報連動型マルチパーティ計算)」技術をドローンの指揮命令系(C2リンク)に応用する。重要コマンド(武装解除、飛行経路変更など)の実行権限を分散させ、「特定の場所(司令部や前線基地)」にいる指揮官が承認しない限り、機体が命令を受け付けない仕組みを構築する。これにより、AIエージェントによる自動化されたハイジャックや、リモートからのなりすまし操作を物理的制約によって遮断する。
図:なりすまし・データ改ざん対策の全体像

各社コメント

Vlightup代表取締役 皆本祥男氏

 AIによる攻撃が一般化する現在、デジタル情報だけで資産やインフラを守ることは不可能です。Aerospace Design 様という、防衛・宇宙設計の最高峰の知見を持つパートナーと共に、私たちの技術を『ソブリン・セキュリティ・インフラ』として社会実装できることを光栄に思います。日本の衛星インフラ『みちびき』をアンカー(錨)とし、サイバー攻撃を物理的事実で無効化する新たな標準を、日本から世界へ提示してまいります。

Aerospace Design代表取締役 太田裕一 氏

 弊社は近年増加する領空侵犯機等に対応する無人航空機の製品化を目指しています。今回サイバーセキュリティにおいて先鋭的な技術をお持ちのVlightup様との提携により、機体に情報の信頼性という新たな価値が付与されます。これにより、現代の厳しい安全保障環境に対応したセキュア(安全・安心)な国産ドローンが実現できるものと確信しております。私は日本の風土および、日本のユーザー様に最適化された、高品質で使い勝手の良い”Made in Japan”の防衛用無人航空機をVlightup様と共に開発し、日本の空の安全に貢献したいと考えています。

防衛用無人航空機「ケルベロス」概念モデル


 今後両社は、2026年度中にプロトタイプ機による実証実験を行うとしており、将来的には防衛省や自衛隊、重要インフラ事業者に「物理認証付きセキュアUAVプラットフォーム」として提案を進め、経済安全保障および防衛生産基盤の強化に貢献する方針だ。