2026年1月6日、アイ・ロボティクスは、360°ドローン点検技術や点検自動化を前提としたプロセス設計、デジタル・アセット化に関する知見を活用し、地下インフラ設備や閉鎖・狭小空間における点検業務の完全自動化を見据えた技術検証を行い、有効性を確立したと発表した。

 また、従来は高額な専用機器の導入や専門的な運用体制が必要なスクリーニング工程に対し、市販の民生ドローンを活用することで、導入負荷を大幅に低減し、簡易で現実的に実施可能であることを実証した。

地下鉄の線路上を飛行するドローン
Antigravity A1による点検の様子(画像をAIで一部加工)

 従来、地下インフラや通信関連設備の点検は、技術者の経験と判断に依存してきたが、点検結果や判断プロセスが体系的に整理・蓄積されにくいという課題があった。また、ドローンの導入が進む一方、判断基準や点検項目、取得すべき情報が整理されないままでは必要な再現性を担保できない可能性がある。特に閉鎖・狭小空間では、自動航行の導入前段として空間構造や設備配置を網羅的に把握し、将来の航路設計や制御に接続可能なデータを取得・蓄積するプロセスを確立することが重要となる。

 完全自動飛行ドローンによる地下インフラ点検を実現するためには、まず人が関与する簡易なスクリーニングを通じて、空間構造や設備配置、障害物情報を網羅的に把握することが欠かせない。そのうえで、取得した空間データを蓄積し、航路設計や制御ロジックの検証といった自動化開発へと段階的に進めていく。

 この実証では、事前スクリーニングおよび空間データ取得フェーズを簡易的かつ汎用的に、さまざまな地下インフラ環境に対応させることを目的に、Antigravity A1やDJI Neo 2といった市販ドローンを活用した技術検証を実施。将来的な自動航行・完全自動飛行に必要となる航路設計、リスク評価、制御ロジック検証を低コストで実現する基盤を構築した。

 Antigravity A1は、360°カメラにより全天球データを取得可能。一度の飛行で天井・壁・床・設備を8K映像で同時に撮影する。専門技能が不要なため低コストで導入できる。取得した360°映像は、そのまま将来の空間や航路設計データとして活用が可能。点検のスクリーニング工程を低コストかつ高再現性で標準化できる。

地下鉄の線路上を飛行するドローン
Antigravity A1による点検の様子(画像をAIで一部加工)

 DJI Neo 2は、衝突回避機能と安定した飛行特性を有し、狭い地下空間でも安全な運用が可能。自己位置保持により一定の再現性をもった4K映像データを取得する。将来の自動航行・自動制御への接続を見据えた挙動評価や初期スクリーニング、ルート設計に適しており、安全マージン評価や航路検証に有効なデータを取得できることを実証した。

地下空間を飛行するドローン
DJI Neo 2による点検の様子(画像をAIで一部加工)

 照明については、機体に固定されていることもデータの再現性や汎用性の制約となる可能性があるため、実証段階では照明を外部要素とし、現場環境や点検目的に応じて最適化できる構成を採用した。これにより、機体の選定・更新と点検品質・データ仕様を切り離し、民生デバイスを継続的に取り込める拡張性の高い点検プロセスを構築する。

写真:照明をつけて飛行するドローン
DJI Neo 2による照明搭載試験の様子

 実証では、実際の現場環境での運用可能性を重視して検証を行い、以下の内容を確認した。

  • 狭い構造で設備が密集した共同溝環境下でも、両機体で安定飛行が可能であり、点検作業として現実的な運用が成立すること
  • 取得した画像・映像データが点検・探索用途として十分な解像度・視認性を有し、設備配置・障害物把握、状況確認に活用できる品質であること
  • 狭小空間における詳細かつ専門的なドローン点検における事前のスクリーニングに役立つデータが取得できること
  • これらのデータが将来の自動航行に向けた航路設計や安全マージン評価の基礎データとして活用可能であること
写真:地下鉄空間に置かれた2種類のドローン
データ取得試験の様子(画像をAIで一部加工)

 アイ・ロボティクスは、この実証で得た知見をもとに、施設管理者向けの点検自動化・デジタル・アセット化導入支援サービスを提供する。修繕に必要なダウンタイムを減らし施設の運営効率の改善を図ることや、将来の自動化・完全自動化を見据えた点検プロセス全体の設計と定着等を一体で支援する。

 また、低コストな市販機を活用した現実的な点検DXの導入を起点として、将来の完全自律化や、専門的なドローンを活用した高度な点検に接続できる標準的な点検モデルの確立を目指す。より高度な専門性が求められる点検については、カスタムメイドで対応可能な専門チームによる実施体制を整え、施設や用途に応じた柔軟な点検ソリューションを一気通貫で提供する。

機体仕様

項目Antigravity A1DJI Neo 2
機体サイズ・重量L410×W335×H65mm
285g(展開時・プロペラガード装着時)
L167×W171×H54mm
160g(デジタル送受信機搭載時)
カメラタイプ・性能360°(全天球)カメラ
最大8Kクラス
前方広角カメラ・2軸ジンバル
最大4Kクラス
衝突回避性能前方・下方の障害物検知・停止(前方にのみ飛行可能)全周囲衝突回避(LiDAR+広角カメラ)
操作方法ゴーグル・グリップ型コントローラーゴーグル・プロポ・スマートフォン・グリップ型コントローラー
リアルタイム映像伝送デジタル伝送(360度視野)
ゴーグル・スマートフォンで閲覧
デジタル伝送
ゴーグル・スマートフォンで閲覧
最大飛行時間(実運用目安)通常バッテリー 約24分
大容量バッテリー 約39分
プロペラガード装着時 約17分
屋外環境適応GPS、リモートID内蔵
GPS環境下でのRTH機能
GPS、リモートID内蔵
GPS環境下でのRTH機能
耐風性能・通信距離等耐風:10.7m/s
伝送:最大4km(MIC規格)
耐風:10.7m/s
伝送:最大6km(MIC規格、Wi-Fi利用時は約500m)
その他の機能・非GPS環境での安定制御
・一度の飛行で空間を網羅取得
・初心者でも操縦が容易
・非GPS環境での安定制御
・狭小空間での高い飛行安定性
・自律化検証に向く
役割空間の事前スクリーニング
・空間理解
・デジタル・アセット化
安全検証・航路評価・簡易点検
・安全マージン確認
・自動航行前検証
市販価格標準セット 20万9,000円(バッテリー1個付属)送信機セット 6万6,660円
機体のみ 3万8,390円