2026年7月31日、アイ・ロボティクスとドローン・ジャパンは、米国政府調達および防衛・公共用途市場への参入を目指す国内ドローンメーカーおよびパーツメーカー・アプリケーションメーカーを支援する場とコミュニティを提供する拠点として、「Blue UAS Laboratory Kawachi」(以下、BULK)を設立すると発表した。
BULKは、茨城県・河内町のドローン実証拠点「ドローンフィールドKAWACHI」内に設置し、飛行場、研究開発施設、屋内外の検証環境を活用しながら、ドローン本体・ドローン部品・ソフトウェア・周辺システムの米国政府調達対応に向けた実証・検証のフィールドとコミュニティを構築する。技術支援、要件整理、設計レビュー、試験計画、ドキュメント整備、海外連携支援などの実務を、両社のネットワークを通じて提供する。
この取り組みは、完成機メーカーだけでなくパーツメーカーおよびアプリケーションメーカーが、米国政府調達エコシステムに参入するための技術的な準備を支援するものだ。
米国ではサイバーセキュリティやデータ保護、サプライチェーンの信頼性を重視する流れが強まり、政府調達では構成部品やソフトウェアの由来、設計、セキュリティ、運用時の安全性が求められている。
特にBlue UAS関連の枠組みでは、完成機を対象とするBlue UAS Cleared Listに加え、UASコンポーネントやソフトウェアを対象とするBlue UAS Frameworkが整備されており、部品メーカーにとっても米国政府調達に参画する機会が広がりつつある。
2025年以降の制度改定により、Blue UASとGreen UASは階層構造として整理され、AUVSI(無人航空機システム国際協会)が運営するGreen UASを商用・公共向け標準認証として位置付けた。2025年7月にはGreen UASをBlue UAS Clearedへの正式な認証ルートとすることを発表。加えてBlue UASをCleared(第一層)とSelect(第二層)に分類し、NDAA適合・サイバーセキュリティ・サプライチェーンの評価を第三者評価機関が担う体制へと移行した。運用主体もDIUからDCMA(国防契約管理局)へ移管する見通しである。これにより日本の部品・アプリケーションメーカーは、まずGreen UAS認証を取得し、必要に応じてBlue UASへ進むという道筋がついた。
一方、日本企業が参入するためには、米国の調達制度、NDAA関連要件、サイバーセキュリティ評価、部品表管理、ソフトウェア構成管理、試験レポート作成、英語での技術説明など、複数の専門領域を横断する準備が必要となる。
こうした背景から、ドローン・ジャパンの「DOP(Drone Open Platform Project)」(※1)を基盤に、Blue UAS認定支援を担う専門プログラムを始動。その実践的なフィールドとして、アイ・ロボティクスと共同でBULKを立ち上げ、この技術的ギャップを埋めるための伴走型支援を開始する。
※1 ドローン関連企業の技術連携が可能なプラットフォームを形成するためのプロジェクト
【主な支援内容】
- グローバル調達・認証対応の総合支援
米国政府調達をはじめとするグローバル市場参入に向け、以下の技術・実務支援をワンストップで提供する。- 現状診断・ギャップ分析・ロードマップ策定
- 設計レビュー・サイバーセキュリティ・サプライチェーン設計支援
- 実機評価・各種検証支援(ドローンフィールドKAWACHIの活用)
- 英文技術文書・評価資料整備
- 米国評価機関・海外パートナー連携および制度動向の継続支援
- 実装を見据えたオペレーションデザイン・現場運用・人材育成支援
機体・部品の評価や認証対応のほか、DCCKおよびドローン・ジャパンが運営するエンジニア養成塾と連携する。
実機やパーツの信頼性確保にとどまらず、現場のオペレーションデザイン(現場運用の設計)や運用体制の構築、高度な技術者の育成まで一体となって伴走支援する。
BULKは、ドローンフィールドKAWACHI内のリソースを活用し、実機ベースの検証・実装が可能。パーツを機体に搭載し、通信、制御、電源、センサー、ログ取得、運用手順まで、実践的な支援を提供する。
DCCKとも連携し、機体やパーツの検証にとどまらず、現場運用のオペレーションデザインおよびオペレーショナル・エクセレンスの設計を担い、その中で必要となるハードウェアの研究と技術者コミュニティの形成・提供を行う。
国内外までダイレクトにつながり指揮・運用を担うDCCKと、国内外の技術情報や政策動向が集まる場・ネットワークを提供するBULKを組み合わせることで、運用まで含めた統合的な信頼性を構築する。
初期サービスとしてドローンパーツメーカー向けの技術診断、ギャップ分析、設計レビュー、実機検証支援を開始する。今後、米国パートナーとの連携強化、第三者評価機関との接続、定期的なBlue UAS・Green UAS・NDAA・米国政府調達制度に関する情報レポート、技術セミナー、ワークショップを展開し、日本のドローン産業と米国政府調達市場をつなぐ専門ハブを目指す。
また、制度対応支援だけでなく、日本企業が世界市場へ参入するための技術・評価・実証・人材育成の中核拠点を目指す。Green UASからBlue UASへと続く評価・実証プロセスを国内で実践できる環境を整備し、日本企業のグローバル展開を継続的に支援する。
将来的には、日本企業がGreen UAS評価やBlue UAS Framework対応を国内で検証できるエコシステムを形成し、国内外の評価機関やシステムインテグレータ、研究機関との連携を進める方針だ。
