2026年7月24日、アトラックラボは、NVIDIA Isaac Simを活用したデジタルツイン開発環境を構築したと発表した。自社開発のAI自律制御システム「AT-SYNAPSE」とROS 2ベースの制御スタックをNVIDIA Isaac Simと統合することで、フィールドロボットの自律移動、周囲認識、障害物回避、安全停止などを実機導入前に仮想空間で高精度に検証できる。

 また、自社開発のフィールドロボット「AT-CART8」を、ROS 2ベースの制御スタックを変更することなくIsaac Simへ投入でき、実機と同一のソフトウェアを用いた開発・評価を実現。これにより、試作回数の削減、開発期間の短縮、品質向上を同時に達成し、フィールドロボット開発の効率化を目指す。

仮想空間での検証の様子
仮想空間での検証の様子
仮想空間での検証の様子

 フィールドロボット開発では、実際の走行環境へロボットを持ち込み、繰り返し走行試験や調整を行う必要があり、開発期間やコストが大きな課題となっている。特に、物流倉庫や工場、医療施設など人が行き交う環境では、安全面や運用上の制約から十分な検証時間を確保することが難しかった。

 アトラックラボは、NVIDIA Isaac Simを活用することで実環境を高精度なデジタルツインとして再現し、AT-CART8のROS 2ベース制御スタックを変更することなく仮想空間上で動作させる開発環境を構築した。さらに、AT-SYNAPSEを組み合わせることで、ロボットが「見て、考え、判断し、動く」一連の処理まで含めた検証が可能となり、実機完成前から自律移動、周囲認識、障害物回避、安全停止などを実機と同一のソフトウェアで繰り返し評価できる。

「ドローンジャーナルコンファレンス&エキスポ 2026 秋」告知バナー

開発環境の特長

  • 実機と同一のROS 2制御スタックを適用
    カメラ、IMU、3D LiDAR、オドメトリ、TFなどのトピック構成を実機同様に再現。ROS 2ノードやAction Graphをそのまま適用できるため、ソフトウェアを書き換えることなく開発・検証ができる。RVizやrqt_robot_steeringなどもそのまま利用でき、実機と変わらない開発フローを実現する。
  • AT-SYNAPSEとの連携による「判断」の検証
    AT-SYNAPSEとNVIDIA Isaac Simを組み合わせることで、LLMを活用したAIロボットの思考プロセスまで含めたシミュレーションが可能。音声・テキスト指示に対しAT-SYNAPSEが周囲の状況を認識・判断し、自律移動や障害物回避、安全停止までを仮想空間で検証できる。実機を使用することなくAIの認識・判断・制御アルゴリズムを反復評価できる。
  • 実環境を高精度に再現したデジタルツイン
    物流倉庫のパレットラックや搬送通路、医療施設の待合室や受付エリアなど、実際の現場を緻密に再現。NVIDIA RTXによるリアルタイムレンダリングで、照明や影、反射、質感まで表現する。
  • センサー情報のリアルタイム可視化
    3D LiDARスキャンやオドメトリ情報をRVizへリアルタイムに配信し、自己位置推定やセンサー認識の精度を確認可能。シミュレーション空間とROS 2の可視化環境をシームレスに連携することで、実機に近い条件でアルゴリズムの検証を行える。
  • 実機完成前から開発・検証を開始し、リードタイムを大幅に短縮
    フィールドロボットAT-CART8を、ROS 2ベースの制御スタックを変更することなくNVIDIA Isaac Simへ投入し、実機と同一のソフトウェアで自律移動、周囲認識、障害物回避までを仮想空間上で再現。新たな現場環境やセンサー構成も繰り返し検証できるため、AI・制御ソフトウェアの開発を前倒しでき、試作回数の削減、開発期間の短縮、品質向上を実現する。

 アトラックラボは今後、自社のドローン(UAV)や無人車両(UGV)、無人船舶(USV)などのフィールドロボット開発プロセスへデジタルツイン開発環境を組み込み、企画・設計からシミュレーション、実機評価までをシームレスにつなぐ開発基盤として活用していく。

 また、自社開発のロボット製品とAT-SYNAPSEの連携を強化し、実機導入前に検証できる環境を提供するほか、ロボット導入を検討する企業やシステムインテグレーター、研究機関との共同開発にも展開する。

 将来的には、顧客の工場や物流倉庫、医療施設などをデジタルツイン化し、「現場を仮想空間で先に動かしてから実機を導入する」という新たなロボット開発・導入プロセスの実現を目指す。