関西電力とAVILENのロゴ

 2026年6月25日、AVILEN(アヴィレン)は、関西電力の火力発電所において、AIとドローンを組み合わせた循環水管の補修候補箇所検知に関する実証実験を実施したと発表した。

 この実験は2026年1月から約5か月間にわたり実施し、ドローンが撮影した映像をもとにAVILENが構築したAI解析モデルが補修候補箇所を自動リストアップする手法を検証した。

 循環水管は、タービン排気蒸気を冷却・凝縮するための海水を通水する配管であり、点検は作業員が目視で行っている。そのため酸素欠乏のリスクがあるほか、属人的な判断が補修候補箇所の見落としにつながるおそれがあった。

 こうした課題に対し、関西電力はAIとドローンを組み合わせた新たな点検手法を検討し、AVILENがAIによる自動点検技術の開発と、実証実験の技術支援を行った。

 実証実験では、2日間にわたって実施したドローン撮影で取得した約4時間の映像を活用し、計1,328枚の画像をAIで解析した。検知対象は局部腐食・亀裂クラック・穴あき・赤さび・貝付着・黒ずみの6種類で、各事象をAIが自動で判定し、補修候補箇所をリストアップする。

実証実験の成果

 ドローン撮影を実施するまでAIの検知精度を検証するためのデータが入手できないという制約が課題であったが、画像生成AIを活用し、過去の点検記録や現場担当者へのヒアリングをもとに劣化事象のデータセットを構築した。これにより、実物画像がない環境下でも、設備の補修候補箇所を検知できるAI解析モデルの基盤構築に成功した。
 また、確認後に新たな劣化事象が判明した場合は、短時間でAI解析モデルの検知仕様を更新して対応することで、生成AIを活用した柔軟な設計の有効性を実証した。

 実際のドローン映像を用いた検証では、作業員による目視点検でリストアップされた補修候補箇所をAI解析モデルで検知できることを確認した。さらに、追加でリストアップしたほうがよいと想定される事象を45件検出し、見落としリスクの低減効果も確認できた。
 点検時間は従来と同等の2日間で完了する見込みであり、循環水管内への入坑をドローン撮影に置き換えることによる安全性の向上を実証した。加えて、AI解析にかかるAPIコストも低水準に抑え、総合的に新手法の実運用可能性を示す結果となった。

 実証実験の一環として、循環水管の点検データを経年的に記録・可視化するデモアプリケーションを開発。数年に一度の点検結果も引き継ぐことができ、過去の劣化状況や補修履歴をシステム上で管理し、優先的に点検・補修が必要な箇所をデータに基づいて特定する。

 AVILENは今後、リストアップ基準の精緻化、画像や画角の調整、AIチューニングによる誤検知の抑制などを進め、一次点検精度の向上を目指す。また、循環水管点検業務に最適化されたAI点検システムの構築を視野に入れ、経年劣化の進行を把握可能なインフラ点検の高度化に貢献するとしている。また、今回の実証実験の知見をもとに、電力・ガス・水道をはじめとするエネルギー・インフラ業界全体への展開を進める方針だ。