福井県坂井市は、全国の優れたスタートアップ企業・研究者や起業家らと地元企業をマッチング・連携研究することで新たな産業を生み出す「新産業共創事業」について、2026年度の実践プログラムの参加企業を全国から募集している。エントリー締め切りは2026年7月27日で、6社程度の採用を予定している。

写真:タペストリーと並ぶ女性
新産業共創の拠点「SAKAI WEAVE」ゲート入口にある地元の繊維技術で織られたロゴ入りタペストリー

 このプログラムは、坂井市の産業活性化と持続可能な地域経済の発展を目的に、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップ企業と地元企業との協業によるイノベーション創出を促すユニークな事業。コンサルタント・ベンチャーキャピタル「ReGACY Innovation Group(以下、レガシー社)が同事業の運営を担う。

 同事業は2年目を迎え、2025年度は「繊維」「ドローン」の2分野で大学なども含む5者を採択。約半年間の研究実践や地元企業との協業を実施し、2026年3月には成果発表を行った。この5者は引き続き事業継続となり、2026年度は新たに6社程度を全国から募集する。

 2025年度の活動では、地元の繊維・織物関係企業と協業し、新たな繊維素材として期待される「木糸」を用いてTシャツや肌着を試作したり、福井空港の滑走路を使って金沢工業大学の研究室が運搬型ドローンの飛行実験に挑むなど、挑戦的な実証実験が展開された。

 2026年度に募集するスタートアップ企業(研究者を含む)は、坂井市内で革新的な技術・アイデアを用いた事業検証を行う意思があること、期間中に用意されたすべてのプログラムに参加できることが条件。昨年度に続き「繊維」と「ドローン」の2テーマに関する提案を募集し、スタートアップとしての事業継続性や市内に拠点を置くなどの活動継続性を中心に審査を行い、採択者を決定する。

 坂井市は福井県北部に位置し、製造品出荷額は県内第3位の約3,822億円(2023年度)のものづくり都市。古くから丸岡町を中心に織ネームなどの繊維産業の集積地であるほか、春江町には定期航空便の発着のない福井空港、日本海沿いの東尋坊など多様な地域資源を有している。また、市内や隣接地には産業技術研究所や福井大学、福井県工業技術センターなど、技術研究や経営支援を担う組織も多数存在している。

 参加企業には、新産業共創事業の拠点ビル「SAKAI WEAVE」で活動してもらうほか、同ビルをコワーキングスペースとしても自由に使用できる。

 人口減少や人材の流出などで地域産業の衰退が進む坂井市では、優れた技術力や製造・生産力を持つ地元企業との協業で新時代を担う企業や産業を創出したいと考えている。市の企画政策課は「昨年度は、私たちの想像を超える技術や発想を持つスタートアップ企業から多数の応募があった。この事業を通じて、坂井市が有する産業基盤や地域資源と、新たな技術・アイデアが結びつくことで、地元産業への好影響、さらに関連分野への波及や新たな事業機会の創出につながることを大いに期待している。また、この事業を通じて『坂井市は新しい取り組みに挑戦しやすい場所』ということが全国の多くの企業や人材に認識していただく契機になれば」と話している。

写真:コワーキングスペース
「SAKAI WEAVE」のコワーキングスペース

2026年度 坂井市新産業共創事業エントリー要項

受付期間2026年6月8日~7月27日
募集社数6社程度
資格・坂井市で革新的な技術・アイデアを用いた事業検証を行う意思があること。
・期間中にすべてのプログラム(現地企業との打ち合わせ、事務局によるメンタリング・DEMO・DEYなど)への参加が可能であること。(必ずしも法人格を有する必要はなく起業前でも可)
募集テーマ繊維、ドローンに関する提案
URLhttps://sakai-shinsangyo-kyoso.regacy-innovation.com/

2025年度の実践例

  • HIRAXIS(福岡県)
    間伐材を原料とした天然繊維の「木糸」による製品の開発。
  • 北海道大学(北海道)
    農業副産物原料の微生物ナノセルロースを使い、繊維強化プラスチックの補強材やアパレル繊維など用途への展開。
  • Amateras Space(東京都)
    船内外宇宙服の研究・開発・社会実装および宇宙における生体情報プラットフォームの実用化。
  • サイトセンシング(東京都)
    「災害時避難者追跡システム」の実用化、独自の測位技術を用い、GNSSの有無に関わらず人々の位置、測位を可能にする。
  • 金沢工業大学(石川県)
    高ペイロード(50kg)積載かつ50kmの長距離飛行が可能なドローンを用いた運搬作業、物流業務のサービス展開。