2026年6月10日、秋田洋上風力発電とKDDIスマートドローンは、車載型ドローンポートを活用した遠隔自動点検による洋上風力発電施設のブレード外観点検の実証に成功したと発表した。

写真:軽トラックの荷台に設置されたドローンポート
車載型ドローンポート
写真:飛行するドローンがブレードの点検を行う様子
ブレード点検の様子

 この実証では、複数の洋上風力発電施設を効率的に点検することを目的に、自動離着陸・自動充電機能を備えたドローンポートを車両に搭載した車載型ドローンポートを活用。事業所から遠隔で飛行指示を行い、洋上風力発電施設のブレード外観の汚れや傷などを遠隔から把握できることを確認した。操縦者は現地まで移動することなく遠隔で点検を開始できるため、作業員が専用船で洋上風力発電施設へ向かうことが難しい場合でも、飛行条件を満たしていれば陸上からブレード外観を確認できる可能性がある。

 車載型ドローンポートを活用することで、緩やかに回転中または一時停止状態のブレードについて、離着陸場所への到着から点検完了まで1基あたり30分から1時間程度で点検を完了できた。従来は外観点検の実施まで発電を停止する必要があったケースにおける点検待ち時間の短縮や、設備異常発生時の迅速な状況確認・早期復旧への貢献が期待される。

 洋上風力発電施設では、ブレードをはじめ設備の状態を継続的に点検・保守することが重要である一方、沖合に設置されていることから、従来の点検では作業員が専用船で現地へ向かう必要があった。そのため天候や海況の影響を受けやすく、点検開始までに時間を要する場合があるほか、作業員の移動負荷も課題となっていた。

取り組み内容

 今回の実証では、秋田洋上風力発電が運営する能代港と秋田港の海域に設置された洋上風力発電施設4基において、車載型ドローンポートを用いたブレード外観の静止画・映像取得を実施した。

  • 車載型ドローンポートの運用性
     ドローンポートを車両に搭載し、点検対象施設に応じて柔軟に配置・運用できるかを検証した結果、多様な場所から安定した離着陸・運用が可能であることを確認。また、複数の洋上風力発電施設を効率的に点検する運用への有効性を確認した。
  • 遠隔運航性能
     事前に設定した飛行ルートや飛行制限エリアに基づき、車載型ドローンポートを遠隔から安全かつ正確に運用できるかを検証した結果、遠隔からの離陸指示に対して正常に作動し、現地作業員が離着陸場所まで移動せずに点検を開始できることを確認した。また、飛行制限エリア接近時における自動減速・帰還機能が正常に作動することや、安全性の高い運用が可能であることがわかった。
  • ブレード外観点検
     緩やかに回転中および一時停止状態のブレードを対象に、傷や汚れなどの外観を遠隔から確認できるかを検証。その結果、ドローンとブレードの離隔距離約90mの状態でも、傷や汚れに加え補修痕や手書き文字もリアルタイム映像で視認でき、設備へ近接することなく安全かつ効率的な点検に有効であることを確認した。
  • 通信安定性
     Wi-Fi(2.4GHz)、上空電波(4G LTE)およびStarlink回線を活用し、遠隔運航時の通信安定性を検証したところ、各通信環境において安定した遠隔運航が可能であることがわかった。通信環境が不安定な場所でもStarlink回線を活用することで、運用エリア拡大への有効性を確認した。

使用機体

DJI Dock 3項目仕様
寸法展開時:1760×745×485mm/閉鎖時:640×745×770mm
重量55kg(機体除く)
保護等級IP56
動作温度-30~50℃
充電時間約27分
最大着陸風速12m/s
DJI Matrice 4TD項目仕様
寸法377.7×416.2×212.5mm(L×W×H、プロペラを除く)
重量1,850g
保護等級IP55
最大飛行距離43km
最大飛行速度21m/s
最大着陸風速12m/s

各社役割

秋田洋上風力発電・実証場所(秋田洋上風力発電所)の提供
・洋上風力発電施設および点検対象(ブレード)の提供
・地元関係者との調整等
KDDIスマートドローン・車載型ドローンポートの提供
・上空電波(4G LTE)およびStarlink回線の提供
・遠隔運航システムの提供および遠隔運航の実施
・飛行許可申請の取得


 KDDIスマートドローンと秋田洋上風力発電は、この実証の知見をもとに、車載型ドローンポートを活用した洋上風力発電施設の遠隔自動点検の実用化を推進する。遠隔から迅速に点検を行える体制を構築することで、点検作業の安全性向上や発電停止時間の削減を目指す。洋上風力発電の安定稼働を支え、再生可能エネルギーの普及・拡大に貢献していく方針だ。