2026年6月8日、Terra Dron(以下、テラドローン)は、サウジアラビアに拠点を置く子会社Terra Drone Arabia(以下、テラドローン・アラビア)を通じて、医療物資・機器の物流・調達を担う政府系企業NUPCOと連携し、イスラム教の宗教行事「ハッジ」における医療物流ドローン運用の展開フェーズを開始したと発表した。
テラドローンは2025年にサウジアラビア保健省およびNUPCOと共に、ハッジにおいてドローンによる医療物資配送プロジェクトを実施している。今回の取り組みは、そのプロジェクトを起点とした次の段階にあたるものであり、実証・初期運用を経て本格的な運用展開へと移行するものとなる。
ハッジは、2026年5月25日から5月29日にかけて実施され、ドローン運用を統括する主担当事業者兼技術パートナーとしてテラドローン・アラビアがプロジェクトに参画した。
ハッジはイスラム教の五行の一つである巡礼であり、毎年200万人を超える巡礼者が世界中からサウジアラビア・メッカには集まる。期間中は巡礼者が一部の都市に集中するため深刻な交通渋滞が発生し、医療物資輸送などの緊急対応に大きな課題が生じていた。
2025年の初回プロジェクトでは、テラドローン・アラビアがメッカ近郊のミナおよびアラファトにおいて、血液や医薬品などの緊急医療物資をドローンで配送する役割を担当した。使用機体には、品質保持のため温度管理が可能な冷却機能付きペイロードボックスを搭載したドローンを採用。地上では1時間半以上かかっていた輸送を6分未満に短縮した。
2026年の取り組みは、こうした成果を踏まえてドローンによる医療物流を実証段階から運用展開段階へ進めるものである。
今回、サウジアラビア一般民間航空総局(GACA)より特定ドローン運用に関する運用許可を正式に取得したことで、混雑する聖地における高密度・低高度での医療用ドローン飛行を支える法的・安全面の枠組みが整備された。また、サウジアラビア保健省の主導のもと、王室裁判所の戦略的指導を受けながら、NUPCOやテラドローン・アラビアなど複数の関係機関・技術パートナーが連携。複数のステークホルダーにより、医療物流における自律型空輸配送エコシステムの実装を進めている。
今回の運用展開は、前回のハッジにおけるプロジェクトの成果を踏まえて実証から実装へと進めるものであり、巡礼者に提供される医療サービスのさらなる高度化への貢献が期待される。テラドローンは今後もテラドローン・アラビアを通じて、サウジアラビアにおける医療、インフラ、エネルギーなどの重要分野でドローン技術の社会実装を推進する方針だ。
