2026年6月2日、三井不動産とKDDIスマートドローンは、三井不動産が管理するオフィスビル「飯田橋グラン・ブルーム」において、狭小空間専用ドローン「IBIS2」を活用した設備点検の実証を行ったと発表した。
オフィスビル管理における設備点検業務では、天井裏など脚立や仮設足場の設置が必要な高所での作業、ダクト内・地下水槽など狭所・暗所での作業など、現場作業者への負担の高さや安全性の確保が課題となっている。狭小空間に特化したドローンを活用して設備状態の確認を行うことで、作業時間の短縮、安全性の向上、点検品質の維持・向上が可能であるかを検証した。
なお、両社は2025年に三井不動産が管理する高層ビル屋上に自動充電ポート付きドローンを設置し、災害時の情報収集を想定した実証を行っている。今回の実証はこうした都市型ビルにおけるドローン活用の取り組みを、災害時の上空からの情報収集に加え、平時の建物保守・メンテナンス領域へ広げるものとなる。
実証概要
| 実施場所 | 飯田橋グラン・ブルーム(東京都千代田区富士見2丁目) |
| 使用機体 | 狭小空間専用ドローン「IBIS2」(Liberaware社製) |
| 検証内容 | 地下水槽、空調ダクト内、天井内、高圧電気室等の狭所・暗所・高所において、ドローンによる飛行・撮影の可否、作業効率化・安全性向上の効果などを検証 |
【飛行の様子】
【撮影画像】
実証結果
① 点検困難箇所における設備状態の可視化
作業員の立ち入りや目視確認が難しいダクト系設備や地下水槽などの点検困難箇所で、IBIS2による飛行・撮影を実施し、漏水、設備の汚れ・損傷等の有無を映像で把握した。暗所や粉塵環境下でも設備内部の状態を安全かつ効率的に可視化できる可能性を示した。
特に地下水槽では、水量を減らし、安全処置をした上で作業員がマンホールから槽内へ入って確認を行うため、内部状況の把握に多くの準備や負担を要していた。こうした人が直接入りにくい設備内部でも、ドローン映像により設備状態を確認できる可能性を確認した。
② 危険作業の代替・補完による作業員の安全性向上
従来は高所作業や狭所・閉所への立ち入りが必要だった箇所の設備状態を、IBIS2で確認できることがわかった。これにより、脚立・仮設足場を用いた作業に伴う落下リスクや、地下水槽などへの立ち入りに伴う身体的負担を低減し、作業員の安全確保に資する可能性を確認した。
③ 付帯作業の削減による点検業務の効率化
仮設足場や脚立の設置、水槽内確認に向けた水抜きや事前準備など、点検の付帯作業を一部削減。ドローンによる遠隔撮影を活用することで、点検箇所へのアクセス準備を簡素化し、点検業務における工数短縮および効率化に資することを確認した。
三井不動産とKDDIスマートドローンは、実証で得られた知見をもとに、オフィスビルにおけるドローンを活用した設備点検業務への実装可能性を検討する。今後は、対象設備の拡大、点検手法の高度化、取得データの利活用等を進め、施設管理業務の安全性向上・効率化を目指す。また、平時の保守点検から有事の被害状況把握まで、都市型ビルにおけるドローンの適用範囲を広げ、都市インフラの維持管理DXと災害レジリエンスの向上に貢献していく方針だ。