2026年5月18日、大阪工業大学は、清水建設、演算工房、シュルード設計と共同で、山岳トンネル工事の切羽(きりは)形状測定作業を無人化する鋼材吸着ドローン測定システム「Perch-RIM(Perch-Realtime Inspection & Monitoring)」を開発・実用化したと発表した。切羽近くの鋼製支保工(崩落を防ぐための支え)にドローンを吸着させ、切羽形状の高精度な絶対座標付きの点群データをリアルタイムで取得する。これにより工事関係者が切羽付近へ立ち入ることなく安全に測定作業ができる。
山岳トンネルの切羽付近では、岩石剥落(肌落ち)により重篤災害が発生するリスクがある。従来の切羽形状の測定作業では切羽前に三脚を設置して行う手法が続いており、作業の無人化が求められていた。
Perch-RIMは、永電磁石、LiDARを搭載したドローン、ドローンの絶対座標を計測するトータルステーションで構成される。測定するには、まず切羽から離れた場所からドローンを飛ばし、切羽付近の鋼製支保工の天端に磁力で吸着させる。続いて、切羽後方のトータルステーションからドローンの3次元座標を取得。最後にLiDARによるセンシングにより切羽面の3次元点群データを取得し、両方の座標値から精緻な切羽形状の絶対座標を算出する。
この測定方法により、余掘りやあたりなどの掘削精度を絶対座標で定量的に評価でき、肌落ち災害リスクも排除する。また、作業時間が大幅に短縮されるため、人員配置の最適化、工期短縮、コスト削減にも寄与する。ドローンの標準搭載カメラを用いて遠隔からの坑内巡回、切羽監視、粉塵や有害ガスの環境モニタリングなど、多様な業務にも応用が可能である。
すでに、中央自動車道の新小仏トンネル工事や米子自動車道の三平山トンネル工事、北海道新幹線の渡島トンネルの現場で実証試験を行い、有効性を確認している。建設現場では、このシステムの実証を継続するとともに、切羽付近作業の無人化に向けて自動化・遠隔化を推進する考えだ。
【各者役割】
| 清水建設 | 全体システムの構想化・評価 |
| 演算工房 | 3次元点群データの計測ソフトの開発 |
| シュルード設計 | ドローンシステム設計 |
| 大阪工業大学 | システム監修 |
