損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)とSOMPOリスクマネジメント(以下、SOMPOリスク)は、森林調査のDX実現を目的に、日立システムズと連携し、2026年2月より新たな森林調査サービスを開始した。

 この連携により、ドローンとAI解析技術を組み合わせた安全な森林調査サービスを低コストで提供し、森林保全の課題解決を目指す。具体的には、人手不足や高コスト、地形的な制約などにより調査が困難であった中小規模から広域にわたる多様な森林を対象に、安全で低コストな森林調査サービスを提供し、森林管理の質の向上と効率化を図る。

 日本国土の約7割を占める森林を保全するには調査が必要である一方、人手不足や調査費用、急峻な地形や動物との遭遇による作業リスクといった多くの課題が存在する。そのため森林情報の可視化が進まず、森林の管理や整備が滞っている。森林保全が不十分であると、土砂崩れや鉄砲水が発生しやすくなり、山間部だけでなく下流域の住宅地や農地にも深刻な被害が出るおそれがある。また、昨今多発している山火事が大規模になる要因の一つとして森林保全の不備が指摘されている。こうした災害だけでなく、水資源への悪影響や環境破壊による生物多様性の喪失といったリスクもあり、森林調査の重要性は高まっている。

 SOMPOリスクはこれまでもドローンとAI解析技術を活用した森林調査サービスを提供してきたが、広範囲で急峻な森林情報を可視化するには、高機能な機器を用いたドローン安全運航技術、取得データの加工・分析に関する専門知識とノウハウが求められる。こうした技術を単独で網羅するには限界があり、対応可能な案件数や技術領域にも制約があった。

 今回の連携により、SOMPOリスクのドローン運航や空撮データ分析のノウハウと、日立システムズのAI解析技術を組み合わせることで、調査やデータ解析の作業工数を削減する。これにより、中小規模から広域にわたる多様な森林を対象に、安全で低コストな森林調査サービスの提供が可能となる。

想定するユースケース

ユースケース目的
森林保全森林の解析と可視化・データ化による森林保全計画の策定(単木レベルの情報把握と総材積量の推定、倒木位置の把握など)
J-クレジット・ボランタリーを含む自然資本クレジット創出樹種・単木レベルの情報把握と総材積量の推定
森林所有者の明確化地形データや樹種分布も含めた森林境界の明確化支援(森林保全計画のベース)
低花粉スギへの植え替えスギの分布・育成状況を把握し、植え替え計画を策定(花粉症の予防)

各社役割

SOMPOリスク

  • 広域な森林空撮を目的としたドローン飛行計画の策定と空撮業務(飛行に関するリスクアセスメントを含む)
  • 解析用の空撮データ分析
  • ドローンの導入および活用に係る各種支援

損保ジャパン

  • 自治体や企業への情報提供およびニーズ確認
  • 自治体との地域包括連携協定等に基づいた防災・減災の推進(地域の社会課題の解決)

日立システムズ

  • AIを活用した森林データ解析(樹種やサイズ、形状比や地位など)
  • 解析用に作成したデータ(オルソモザイク(※1)、数値表層モデル(※2)など)の提供


 今後、広域で急峻な森林でのドローンの運航・空撮技術やAI解析技術を向上させ、サービスの高品質化と低コスト化を目指す。将来的には、ドローンのレベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)で作業負担を軽減し、安全性の向上とコスト削減を図る。

※1 ドローンなどで撮影した数百〜数千枚の航空写真を、専用のソフトウェアでつなぎ合わせて作成する歪みのない1枚の大きな画像。正確な位置情報をもち、距離や面積の計測が可能。
※2 土地の起伏に加えて、樹木や建物といった地表にある物の高さも含めて表現した3次元の地形データ。木の樹高や森林全体のボリューム(材積)の推定が可能。