鹿沼梱包運輸とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、栃木県鹿沼市、とちぎコープ生活協同組合(以下、とちぎコープ)は、2026年2月4日から2月10日にかけてドローン配送の実証実験を実施した。地域物流の課題解決と持続可能なインフラ構築を目指すもので、鹿沼梱包運輸がドローンポート併設型の自社倉庫とリモートパイロットを準備した。

写真:飛行するドローンと、それを見守るスタッフ
飛行するドローンを見守るスタッフ(スノーピーク)

 鹿沼市の山間部では、小ロット配送による積載率が約40%前後と低迷しており、長距離移動に伴う非効率性が課題となっている。このプロジェクトでは事前検証を行い、新営業所を起点とした半径約15km圏内で重量5kg以下の荷物をドローン配送へ代替した場合、トラックの走行距離の約6.1%(年間1,370km)、年間46便の削減が可能であることを確認した。今回の実証実験は、この結果に基づき、陸送(共同配送)と空送(ドローン)を組み合わせた「ハイブリッド型物流」を構築し、持続可能な地域インフラの維持と物流効率化を実現することを目的としている。

 実証実験では、鹿沼市特有の山間地形でのドローン配送の社会実装に向け、同市と地元物流企業、物流プラットフォーマーが連携し、3つの異なるルートにおいてドローンを活用することで、ラストワンマイル配送を補完できるかを「物流効率化」「技術的安全性」「サービス受容性」の3つの観点から検証した。

 物流効率化の検証では、鹿沼梱包運輸の既存トラック網とドローン配送を組み合わせ、山間部への小ロット配送をドローンへ代替することで、トラック走行距離の約6.1%、年間46便の配送削減が可能であるとの試算を裏付ける運行データを取得した。これにより、ドライバーの労働時間を短縮し、CO2排出削減に寄与する「ハイブリッド型物流」の実効性を確認した。

 技術的安全性については、スノーピーク鹿沼(観光施設)、鹿沼72カントリークラブ(ゴルフ場)、個人宅(とちぎコープ組合員宅)という異なる着陸環境において、レベル3.5飛行(補助者なし目視外飛行)を実施した。起伏の激しい山間部や着陸スペースが限られる個人宅の庭先(約8m四方)であっても、遠隔運航管理により数センチ単位の精度で安全に離着陸できることを実証した。

 サービス受容性では、日用品配送や観光施設でオンデマンド配送を行い、住民や観光客から好意的な反応を得た。また、災害で道路が寸断した場合は孤立集落への物資輸送手段として機能することを確認し、平時・有事を問わないフェーズフリーな地域インフラとしての有効性を示した。

写真:手前にドローンと荷物を持つ人
とちぎコープ組合員に商品を渡した様子(とちぎコープの実証内容)
写真:荷物を手渡す様子
鹿沼梱包運輸のスタッフがドローン物流の荷物を手渡す様子(72ゴルフの実証内容)
今回の実証実験の流れ

 使用機体は、レベル3.5飛行に対応可能なACSLの物流用ドローン「PF4」。最大積載は5.5kg、航続距離は約40km。現地オペレーションは鹿沼梱包運輸等が担当した。配送物は、食品容器や弁当、防災用品、特産品。

【飛行ルート・回数】

2026年2月4日スノーピーク鹿沼キャンプフィールド&スパ観光拠点(キャンプ場)への配送および離着陸の検証(片道距離9.8km、約18分の飛行)
2026年2月9日とちぎコープ組合員宅(顧客敷地内)の庭先(約8m四方を想定)を活用したラストワンマイル配送検証(片道距離14.1km、約24分の飛行)
2026年2月10日(予定)鹿沼72カントリークラブの広大なゴルフ場敷地を活用した離着陸および配送検証(片道距離6.4km、約13分の飛行)

【各社役割】

鹿沼市実証実験フィールドの提供・調整、地域住民への周知協力
鹿沼梱包運輸地域物流のハブ拠点(新営業所)の提供、共同配送の運行主体、ドローンポートの管理および現地オペレーション
とちぎコープ実証時の実配送商品の提供、受け取り手の組合員との調整協力
セイノーHD新スマート物流「SkyHub」の導入支援、共同配送のコーディネート

 今回の実証実験で得たデータをもとに、新営業所を拠点とした半径約15~18km圏内においてドローン配送の実装を進める。今後、食品・日用品配送や災害時の物資輸送を含むフェーズフリーな地域物流インフラを構築し、人手不足が深刻な物流業界の課題解決を目指す方針だ。