2026年2月10日、高山ドローンリサーチとアイ・ロボティクスは、2025年12月に発売されたの360°撮影ドローン「Antigravity A1」の撮影映像を用いて、点群等の三次元データを生成する共同実証実験を実施したと発表した。

 飛行時間は約5分程度という短時間かつ簡易なドローン運用でありながら、屋内大空間を対象とした実務利用を想定した点群等の三次元データの取得が可能であることを確認した。

写真:屋内を飛行する「Antigravity A1」、「Antigravity A1」の撮影映像、「Antigravity A1」専用のVisionゴーグルを装着する高山氏

 屋内空間の三次元計測および点検業務では、機体サイズや重量による制約、高度な操縦スキルの必要性、作業時間の長さが課題であった。特に、GNSSが利用できない屋内・閉鎖空間では、技術的な可能性と日常業務としての安定運用の間に隔たりがあった。

 今回の検証では、軽量かつコンパクトなAntigravity A1を活用し、こうした制約条件下での継続運用の可能性という観点から、点群等の三次元取得手法の実用性を検証した。

 Antigravity A1は、Insta360の支援を受けた新ブランドAntigravityが開発した、360°全方位撮影に対応したドローンである。デュアルレンズ構成の360°カメラで周囲すべての映像を8Kの高解像度で記録することができる。撮影方向を意識した機体姿勢制御を必要とせず、後処理段階で任意の視点を切り出すことが可能だ。

 飛行重量は約249gと軽量かつコンパクトで、高い携帯性と即時運用性を備えている。専用ゴーグルやモーションコントローラーを用いることで、操縦者の動きに追従した視点操作が可能。飛行操作と視点制御を柔軟に分離した運用を実現する。衝突回避やペイロード検知システムなどの安全機能も搭載しており、視界が制限される屋内空間や閉鎖環境でも安定した飛行と運用が行える。

「Antigravity A1」の概要、スペック

 一般的なドローンによる撮影では、操縦者が飛行中にカメラの向きや機体姿勢を意識しながら撮影を行う必要があり、特に屋内や閉鎖空間では撮り逃しや撮影ムラが生じやすい。一方、Antigravity A1は360°全方位を同時に記録するため、飛行中に撮影方向を細かく意識する必要がない。これにより操縦者は飛行に集中して点検や計測に必要なデータを取得できる。

 8Kの360°映像は後処理で任意の視点にリフレーミングできるため、点群生成の観点でも有効である。構造物や壁面、天井部などの情報を広範囲に含んだ映像データを確保し、三次元点群生成時に詳細な構造情報を抽出しやすいため、後処理工程での解析自由度を高め、撮影条件に対する許容度を広げることにもつながる。

【実証の成果】

  • 約5分程度のフライトで、三次元点群生成に十分な量の入力データを取得できることを確認した。短時間の飛行で空間全体の構造を把握できる点群を生成できた。
  • 高度な操縦スキルや特殊な機体設定を必要とせず、一般的な操縦レベルで安定したデータ取得が可能。これは、点検・計測業務における人材制約の低減や、運用の標準化に寄与する要素となる。
  • 生成した点群データは、点群単体では一部に密度差が見られるものの、メッシュ化処理を行うことで視覚的な粗密差が緩和され、点検や空間把握用途において十分な表現精度を有することを確認した。用途に応じて点群とメッシュを使い分けることで、実務への適用可能性が高まることが示唆される。
  • PIX4Dmaticによる解析結果では、バスケットコートのラインや壁面構造が明瞭に再現されており、この手法が空間形状の把握や点検用途において有効であることが視覚的にも確認できた。
写真:PIX4Dmaticで生成したドローンフィールドKAWACHIの三次元データと水平断面図
PIX4Dmaticにより生成した三次元データと水平断面図(図はメッシュ表現)
三次元データのウォークスルー動画(iRobotics YouTubeチャンネル)

 現在の解析では、360°データから任意の向きに切り出したデータを中心に使用しており、Antigravity A1が有する360°全方位撮影能力を十分に活用できていない。その結果、点群生成時にエリアごとの密度差が生じることがわかり、今後は360°全方位映像の特性を前提としたデータ選別手法や前処理フローの最適化を進めることで、点群密度の均一化および再現性の向上を図る。

 また、現時点の解析フローは、従来型のフォトグラメトリ手法を中心としており、3DGSへの直接的な展開には入力データ形式や処理プロセスの面で制約がある。今後、入力データ設計の最適化を進めるとともに、PIX4Dなどの解析ソフトウェアのアップデート動向を踏まえながら、点群・メッシュ・3DGSといった複数の三次元表現手法を用途に応じて使い分ける整理を行う。

 これらの取り組みにより、短時間・簡易運用を維持しながら、実戦的で汎用性の高い三次元データ取得・表現手法の確立を目指す方針だ。

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