2026年1月13日、ブルーイノベーションは元請企業である渡辺建設と連携し、栃木県野木町において屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を活用した下水道管路の調査・点検を実施したと発表した。

 この調査は、国が定める「下水道管路の全国特別重点調査」に基づき、老朽化が進む下水道管路の状態を安全かつ効率的に把握することを目的に実施したもの。施工から30年以上が経過した管路約3kmを点検し、従来の人力調査では約5日を要する工程を2日間で完了した。作業員が管内に入ることなく地上からドローンを操縦することで、酸欠や有毒ガスのリスクを排除し、交通規制時間の削減にも寄与する。

写真:水が流れる下水道管路の中を飛行する「ELIOS 3」
屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を活用して下水道管路内を点検する様子

 野木町が管理する下水道は、汚水管が約108km、雨水管が約5kmにおよぶ。最も古い区間は施工から50年以上が経過しており、老朽化対策が急務となっている。調査を怠り劣化が進めば道路陥没などの重大事故につながるおそれもあるため、同町はドローン点検を有効な調査手法として評価している。

 今回の調査は、施工後30年以上が経過した管径2m以上の下水道管路を対象に実施した。人力の場合、作業量は概ね600m/日程度で、対象区間の調査には約5日を要する。ELIOS 3を用いた今回の調査では、同区間を2日間で完了し、工期を3日短縮した。

 管内での人力作業をなくすことで、酸欠や有毒ガス、増水などの不確実な作業環境における安全性が向上し、1スパン当たりの作業時間短縮により交通規制時間を削減できた。

 また、作業者の熟練度によって差が生じやすい点検品質は、ドローンで撮影した映像データを用いることで標準化が可能となる。

野木町産業建設部上下水道課 岡田氏のコメント

 今回の点検では、直ちに大規模な補修を要する深刻な損傷は確認されませんでしたが、経年による劣化状態や接続部などに変状が見られる箇所の状態を詳細に把握できました。これにより、今後の補修計画や経過観察に役立てることが可能となります。

写真:ドローン点検を行う道路に設置された交通整備の矢印や立て看板「下水道管内ドローン調査中」
写真:地上のマンホール付近でドローンを操縦する作業員
「ELIOS 3」が取得した下水道管路内の映像(ブルーイノベーション株式会社 YouTubeチャンネル)

 今回使用した屋内点検用ドローンELIOS 3は、暗くて狭く、GPSが届かない下水道管路内でも安定した飛行が可能。損傷の位置や程度を位置情報付きの3Dデータとして記録し、映像だけでは把握しにくい管路のゆがみやたるみといった形状変化も確認できる。ブルーイノベーションは、こうした映像や3Dデータを活用し、AIによってひび割れなどの変状を自動検知する取り組みを進めている。

 同社はインフラ点検分野における自治体案件の拡大に注力している。国が進める下水道管路の全国特別重点調査を背景に、老朽化インフラの点検需要は今後も継続すると見込んでおり、同様の条件を持つ他自治体や関連事業者への横展開を進めるとしている。

写真:屋内点検用ドローン「ELIOS 3」
屋内点検用ドローン「ELIOS 3」。開発はスイスのFlyability社。非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性を備えた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種で、3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載している