2025年10月2日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーのUnifly(以下、ユニフライ)が、欧州防衛庁(EDA)主導のプロジェクト「MIL-UAS-SPECIFIC 3」に参画したことを発表した。
このプロジェクトは、防衛・安全保障領域のドローンを含む運用において、飛行前リスク評価の基準を欧州全体で共通化し、安全性・相互運用性・効率性を向上させることを目的としている。同領域において各国で異なるドローンの飛行前リスク評価の基準を欧州全体で共通化する。
欧州では、防衛・災害対応・警備など、公共安全・政府機関の現場でドローンの活用が広がっている。防衛・安全保障領域では、目視外飛行や人口密集地などリスクの高い飛行が多いため、各国当局から特別な飛行許可・承認を求められる場合がある。これらの申請は、精緻なリスク評価と各国当局が定めるリスク対策の順守が必要で、専門的な知識を要するなど複雑なプロセスとなっている。さらに現状ではリスク評価の基準やプロセスが国ごとに異なるため、準備コストや手続きの負担が大きく、国境を越えた運用が難しい状況だ。
ドローンの飛行許可・承認の取得に用いるリスク評価の基準を欧州全体で共通化することで、安全性・相互運用性・効率性を高め、各国の申請におけるコストや負担を削減し、国境をまたぐ運用の円滑化を図る。
ユニフライが同プロジェクトに参画した背景には、ドローンの飛行前リスク評価のプロセスから運航管理までを一貫して支援する統合プラットフォームの構築を目指し、2025年4月に完全子会社化したEuroUSC Italia(以下、ユーロUSCイタリア)の存在がある。同社は、EU諸国、英国、カナダ、オーストラリア、アラブ首長国連邦など約40か国以上で採用されるSORA(※1)に基づくリスクアセスメント支援を中心に、グローバルでドローンの規制・安全・飛行前の許可・承認の取得に関するアドバイザリー業務を提供している。自社開発のリスク評価支援ソフトウェアを活用し、専門知識が求められる複雑な申請プロセスのデジタル化・効率化を推進してきた。こうした実績が評価され、ユニフライはユーロUSCイタリアを通じてプロジェクトに参画する運びとなった。
※1 SORA(Specific Operations Risk Assessment):目視外飛行や人口密集地のようなリスクの高い飛行における、ドローンの飛行前リスクを評価するフレームワーク。
実施概要
プロジェクトの前段階において、ユニフライは、空と地上におけるリスク要件の定義、規制等の変更にあわせて定義を更新するためのロードマップの提案、リスク評価のためのオンラインツール試作版の開発を実施。これらをもとにプロジェクトの中核的な推進役を担う。
【予定するユニフライの取り組み】
- 要件定義の深化:防衛・安全保障用途特有の要件を反映したリスク評価基準の改良
- ツール拡張:オンラインツールの改良(ネットワーキング機能の強化)
- 外部連携:EUSPA(※2)が持つ人口密度などの地理データとオンラインツールの連携強化
- 実装促進:検証のための演習やワークショップ開催の主導
※2 EUSPA:European Union Agency for the Space Programme(欧州連合宇宙計画庁)。EUの宇宙プログラム(衛星サービス等)の運用・利用促進を担う機関。リスク評価に活用する人口密度データ等の提供元。
