2025年9月29日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「デジタルライフライン整備事業」で8件のテーマを採択したと発表した。予算は53億円(2025年度)。

 この事業では、前身である「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」の成果を踏まえ、「アーリーハーベストプロジェクト」に基づいた取り組みを実施する。同プロジェクトは、デジタルインフラの社会実装を早期に具体化し、実感し得るデジタルの恩恵をいち早く提供することを目的としており、デジタル技術を社会実装し開発が促進されることや、持続的なサービスが提供されることなども目指す。

 人口減少が進む中、将来にわたって安心して暮らし続けるため、デジタル化によって人手に頼らなくとも必要なサービスが行き渡る仕組みを、平時・有時の区別なく利用可能な「デジタルライフライン」として整備することが望まれている。

 この事業では、「デジタルライフライン全国総合整備計画」で先行的取り組みとして位置付けているアーリーハーベストプロジェクトに基づき、「ドローン航路」「インフラ管理DX」「自動運転サービス支援道」「奥能登版デジタルライフライン」の各領域を社会実装するために必要なシステムについて、情報処理推進機構のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)と連携し、データ連携システムの開発・拡張などを行う。

【採択テーマ】

研究開発項目(1)A―1~3ドローン航路の開発
研究開発項目(1)A―4ドローン航路の実証
研究開発項目(1)Bインフラ管理DXの開発・実証
研究開発項目(1)C―1自動運転サービス支援道の開発(一般道)
研究開発項目(1)C―2自動運転サービス支援道の開発(高速道)
研究開発項目(1)D奥能登版デジタルライフライン
研究開発項目(1)Eデジタルライフライン整備の推進に係る調査およびプロジェクトマネジメントオフィス業務
研究開発項目(2)FODS-RAMセマンティクスレイヤ

 ドローン航路については、「ドローン航路の開発」をグリッドスカイウェイとIntent Exchange(委託)、「ドローン航路の実証」はトラジェクトリー(助成)が実施する予定。

ドローン航路の開発

 ドローン航路の開発では、本格的な全国展開に向けて以下の研究開発を行う。

  • 複数事業者の相互乗り入れ等の実現を目指したドローン航路システムの改修・高度化
  • ODS-RAMに準拠したエアモビリティデータスペース群の確立(ウラノス・エコシステム連携)
  • 仕様・規格への適合性認証制度等運用および国際標準化/海外展開に向けた戦略検討
  • 航路の相互乗り入れ実証や国際標準化活動
写真:デジタルライフライン整備事業概要資料「ドローン航路の開発」
(出所:NEDO)

ドローン航路の実証

 ドローン航路の実証では、以下の研究開発に取り組む。実証は、現在定期運航中の静岡県浜松市天竜川上空のドローン航路、隣接する愛知県東栄町で実施する。

【ドローン航路システムの実証】

  • ドローン航路間における直通運航
  • 全国線および地方線のドローン航路間における直通運航
  • ドローン航路の複線化
  • 航路の出入りを行う運航
  • エアモビリティデータスペースの構築にかかるデータ整備やサーバーサイド(UTMS等)の改修と開発成果の妥当性実証
  • 航路周辺の盛土調査・監視手法の実証
  • カーボンクレジットの獲得に向けた仕組みの構築の研究開発

【OSS管理団体立ち上げ・国際標準化活動にかかる補助】

  • ドローン航路にかかるOSS管理団体「UAS Lines Foundation(仮称)」の立ち上げ
  • ドローン航路の国際標準化活動の実施
写真:デジタルライフライン整備事業概要資料「ドローン航路の実証」
(出所:NEDO)