2025年9月16日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社の持分法適用会社でドローンの運航管理システム(以下、UTM)を提供する米国のAloft Technologies(以下、アロフト)の株式を追加取得し、完全子会社化すると発表した。

 現在ドローンや空飛ぶクルマは、物流や警備、災害対応など多岐にわたる分野で注目されており、運航管理と安全対策の重要性が高まってきている。今後さらに多くのドローンが飛行し、混雑が予想される低空域では、目視外飛行の安全確保のため、航空機の管制業務のようなUTMが求められる。

 世界最大級のドローン市場である米国では、米連邦航空局(FAA)のデータによると80万機以上のドローンが登録されている。さらにFAAは、2025年6月にドローン産業振興に関する大統領令を発出し、8月にドローンの目視外飛行に関する規則案(Part108)を公表するなど、ドローンの目視外飛行に関する制度化を進めている。

 テラドローンは、ドローンの開発・ソリューション提供、複数のドローンの運航を安全かつ効率的に管理するプラットフォームであるUTMの開発・提供に取り組んできた。

 同社は、ベルギーのUTMプロバイダーであるUnifly(ユニフライ)を2023年7月に連結子会社化、米国でUTM事業を展開するアロフトを2024年2月に持分法適用会社化し、欧州・米国の制度や運用要件に即した機能開発・社会実装を推進してきた。テラドローングループのUTMは世界10か国に導入されているほか、3社共同で、欧州・米州・中東・アジア等の国外を対象とする空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発にも着手している。

 アロフトは、米国においてUTMとフリート管理システム(※1)を連携したソリューションを提供している。FAAが認定するドローンの運航管理サービスプロバイダーとして、2018年にFAAが実装した米国のUTMにあたるLAANCにおいて84%以上のシェアを有している(※2)。また、セキュリティの認証規格であるSOC2 TypeⅡおよび ISO 27001を取得し、国際基準に適合した情報セキュリティ体制を構築・運用している。

 テラドローンはアロフトを完全子会社化することで、米国における顧客基盤を強化し、米国市場のUTM需要を取り込むとともに、グローバルなUTM事業展開の加速を図る方針だ。

※1 機体の登録・パイロットの資格管理・飛行計画・飛行ログなどを一元管理するシステム
※2 FAA LAANCレポートとアロフト・ユーザー・データをもとに算出