NTT Com、東京港埠頭でドローンポート「Skydio Dock for X10」とStarlinkによる状況確認実証に成功

　2025年6月23日、NTTコミュニケーションズ（以下、NTT Com）は、羽田空港に近接し人口密集地に位置する東京港埠頭の敷地において、ドローンポート「Skydio Dock for X10」を活用した災害時における迅速な状況確認の実証実験を行ったことを発表した。

　災害時に十分なネットワーク環境が準備できないことを想定し、通信回線には「Starlink Business」を活用。また、AIと高性能センサーを搭載した小型ドローン「Skydio X10」のズーム機能を使うことで、海上を渡ることなく1.6km先の対岸エリアの状況の確認が可能となり、災害対応における有用性が明らかになった。

ドローンポートから離陸するドローン

　東京港埠頭は、東京湾をまたがる広大な敷地を管理しており、災害時には埠頭の対岸状況を迅速に確認する必要がある。これまでは、職員が現場に向かい約49万5700m²に及ぶ敷地の対岸状況を確認をしていたため、移動に時間を要し、二次災害の危険性もあった。また、大雨や地震などが発生した際の通信手段の確保も課題となっていた。

　実証では、高性能なズーム機能を有するSkydio X10と、自動離着陸や自動給電などが可能なドローンポートSkydio Dock for X10、災害時でも高速・低遅延な通信が可能な衛星インターネットサービスのStarlink Businessを活用した。

実証の概要

　東京港埠頭でSkydio X10とドローンポートSkydio Dock for X10、Starlink Businessを活用し、5日間で合計63フライトの実証実験を行った。

　操作画面上では、ドローン搭載カメラの高精細な映像を通じて現地の状況をリアルタイムに確認でき、高性能なズーム機能を用いて海上を渡ることなく明瞭に約1.6km離れた対岸の様子を把握することができた。

実証の構成イメージ

1.6km先の対岸を等倍で撮影した画像

1.6km先の対岸をズーム撮影した画像

　同社は今後、実運用に向けて検証を進め、災害時や緊急時の状況確認だけでなく、現場のその後の意思決定を支えるとしている。また、他の港湾施設への展開を目指す。

　通信基盤の強化に向けて、ドローンをモバイルネットワーク内で利用できる専用料金プラン「LTE上空利用プラン」のオプションとして、2025年夏ごろに提供を開始予定の「パケット優先制御機能」を活用することで、混雑環境下においても安定した映像品質を確保し、ドローンによる状況把握の高度化を図る。