2025年5月16日、WHDCアクロディアとマゼックスは、ドローンの姿勢や速度などを制御する次世代型フライトコントローラーの開発を開始したことを発表した。ドローンの姿勢や速度など、AI技術を活用した高度な制御システムの研究を行い、ドローンの飛行安定性と精度を向上させる。
日本では少子高齢化や人口減少が進み、農業や林業の衰退、自然災害の頻発などの問題が深刻化している。この解決策として、信頼性が高く低コストな国産ドローンの開発が求められている。日本特有の環境は海外製ドローンでは対応しづらい場合があり、国内ニーズに適したドローンの需要が増加すると両社は予測している。
マルチローター型ドローンは複数のプロペラを個別に制御して飛行する。そのためには、ジャイロセンサーや加速度センサー、座標情報による高度な演算と迅速な応答が必要となる。産業用ドローンでは高精度な姿勢制御が求められ、用途に応じて高精度なRTK-GPSや光学ジャイロセンサーの選択が必要となるが、構造が複雑で重く高価なため、搭載できるドローンに制約がある。
また、ドローン分野における海外依存リスクも考慮する必要があり、その品質やセキュリティー、有事の際の入手性に対する懸念などのリスクを回避するためにも、国産のドローン用フライトコントローラーの開発は重要な課題となっている。
開発の概要
WHDCアクロディアとマゼックスは、以下の要素に焦点を当てた次世代型フライトコントローラーの開発を行う。
- 国産化による信頼性とコスト競争力の強化
基幹部品であるフライトコントローラーを国産化することで、サプライチェーンの安定化を図り、長期的な視点でのコスト競争力強化を目指す。 - 小型軽量化による搭載性の向上
最新のIMUセンサーや演算処理ユニットを採用することで、フライトコントローラーの小型・軽量化を図り、さまざまなサイズのドローンへの搭載を可能にする。 - AI技術の活用
深層学習などのAI技術を導入し、センサー情報に基づいたより高度で柔軟な姿勢・速度制御を実現。これにより、突発的な外乱に対する安定性の向上や、より精密な作業を可能とする。 - 多様な用途への対応
農業、林業、災害対応など、さまざまな産業分野のニーズに対応できる拡張性の高いフライトコントローラーの開発を目指す。